購買行動の多様化とコンテンツの細分化

製品/商品を、より多くの人へ知ってもらうため・最終的に購買行動を起こしてもらうために、多くの企業がマーケティング活動に注力しています。しかし、人々の購買行動はパターン化が出来るものではなく、BtoB/BtoCそれぞれで場面は違えど通ずる認識ではないでしょうか。

特にデジタルマーケティングにおける消費者の行動は不規則的がスタンダードであり、100%に限りなく近いと言っても過言ではないほど、企業が思い描く通りにユーザーが購買までの道筋を辿ることはありません。

そのような状況で私たちが出来ることは、消費者のランダムな購買トリガーを敏感に感じ取り、あらゆる局面を想定してマーケティング活動・営業活動へ反映させることでしょう。

本記事では、消費者の不規則な購買行動モデルや、それを想定したマーケティング戦略について、様々な研究結果を基に私なりにまとめてみました。

購買行動の多様化

冒頭でお伝えした通り、消費者の購買行動は不規則的で決してコントロール出来るものではありません。従来は一定の行動パターンに基づくマーケティング活動が一般的に認知されていましたが、スマホが普及した現代では思い立ったら情報探索、即購買へ至るケースも珍しくないでしょう。

上記はBtoCでよく見られるケースですが、BtoBでも検索エンジンなどで情報探索を経て、それまで接点のなかった企業へ問い合わせすることが容易になり、商談や契約までのサイクルを発注側で短縮することが可能となりました。

購買行動の多様化の大きな要因は、個人の情報探索機会が増えたことが挙げられます。特に検索エンジン・SNS・口コミサイトなど、オンラインでの情報探索機会が活発化したことで、自身が知りたいことを調べることが日常的になりました。

参考元:Think with Google

上記は従来の情報探索行動モデルで、消費者は段階的に購入へ向けて意思を固めていくとされています。スピードの個人差はあっても、この情報探索行動モデルを基に各企業はマーケティング活動を進め、段階ごとの施策を立案・実行してきました。

しかし、従来の情報探索行動モデルはマーケティング活動を行う企業側が考える都合の良いモデルであり、実際に情報探索機会が増えた昨今では、下記のような現象が頻繁に起きています。

  • ①認知→②興味→④購入意向→⑤購入
  • ①認知→③比較検討→④購入意向→離脱
  • ①認知→③比較検討→離脱→⑤購入


他社と比較検討をせずに購入意思を固めている人もいれば、購入意思を固めた後に結局購入まで至らなかった人など、段階的に購入意思を固めるとされる従来の情報探索モデルとは明らかに異なります。

購入までのスピードも、即日で購入意思を決定する人もいれば、数年かけて購入まで至った人、当初想定していたものとは別のものを購入した人など様々です。しかし、これが消費者行動のリアルでしょう。

8つの潜在的動機

先述の通り、消費者の購買行動や情報探索行動は不規則的です。その理由について、Google社が以下のように情報探索行動には8つの潜在的動機があると発表しています。

画像引用元:Think with Google

更に、「気晴らしさせて」「学ばせて」「みんなの教えて」「ニンマリさせて」の4つは、探るモード。「納得させて」「解決させて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」の4つは、固めるモードと、8つの潜在的動機を大きく2種類に分類しています。

画像引用元:Think with Google

そして、8つの動機を掘り下げると、以下のような情報を求めていることが考えられます。


<さぐる>

  • ①「気晴らしさせて(へー)」→「関心があるものに対して、情報収集自体を楽しみたい検索動機(そのジャンルの浅い部分をライトにまとめている情報)」
  • ②「学ばせて(ふむふむ)」→「今まで知らなかったものに対して、網羅的に知識を蓄積したい検索動機(専門的で重厚な情報)」
  • ③「みんなの教えて(そんな感じか)」→「世間や周りの人が選んでいる商品/サービスを把握したい検索動機(比較検討しやすい情報)」
  • ④「にんまりさせて(うしし)」→「一般的にはなっていない知る人ぞ知る商品/サービスを知りたい検索動機(周囲の人が知らないことで優越感を感じられる情報)」

<かためる>

  • ⑤「納得させて(なるほどね)」→「自分の今持っている考えが本当に正しいものなのか確認したい検索動機(不安を解消してくれる情報)」
  • ⑥「解決したい(はいはい)」→「具体的な方法や手段がわからないときに、今すぐ役立つ答えを手に入れたい検索動機(早急に課題解決若しくは解決のヒントとなり得る情報)」
  • ⑦「心づもりさせて(やっぱりか)」→「商品/サービスに後でがっかりしないように、予め期待値を下げておきたい検索動機(商品/サービスの本質的な情報)」
  • ⑧「答え合わせさせて(ですよね)」→「商品/サービスについて、自分の選択が間違ってないと思い込みたい検索動機(商品/サービスに関して自分が認識している通りの情報)」

「さぐる」「かためる」それぞれの情報探索行動のゴールは、上記のような情報へ辿り着くことが考えられますが、必ずしも「さぐる」→「かためる」の順序というわけではなく、いきなり「かためる」情報を探索する消費者も存在するでしょう。

バタフライ・サーキット

8つの潜在的動機を踏まえて、再度、「購買行動の多様化」でお伝えした不規則的な購買行動へ話を戻すとします。順調に購入への意思を固めつつあった消費者が何らかの理由で離脱したり、ある日突然購入へ踏み切ったりなど、これらの現象をGoogle社が「バタフライ・サーキット」と名付けて発表しています。

画像引用元:Think with Google

消費者は「さぐる」「かためる」をサーキット上に繰り返しながら、ある日突如として購買トリガーを発動するという考え方であり、ランダムな購買トリガーに対応するためには後ほど解説するアジャイル型マーケティングを進めていく必要があります。そして、バタフライ・サーキットには合計5つのパターンが存在します。

全方位型

積極的に情報探索を行ってから商品/サービスを購入するパターン且つ、バタフライ・サーキットの「さぐる」と「かためる」双方に属する動機がバランスよく現れるタイプです。

また、購入する商品/サービスに目星がついて「かためる」行動をしていても、情報探索行動を続ける中で、興味をかき立てる別の商品/サービスに出会うと突発的に購入意思が高まるのが全方位型の典型的なパターンとされています。

主観型

主観型も全方位型と同様、積極的に情報探索を行ってから商品/サービスを購入します。全方位型と比較すると、情報探索行動の動機は「気晴らしさせて」や「学ばせて」の割合が大きく、「みんなの教えて」や「にんまりさせて」の割合は小さいのが特徴です。

また、主観型はモバイルでの情報探索行動をとる人が多いのも特徴で、気晴らしの検索で商品/サービスの購入を決めてから、その商品/サービスの情報を調べ始めるのが主観型に多いタイプとされています。更に、周囲の意見や口コミが購買決定要因となることは少なく、自分の意思を重視する傾向があります。

慎重型

商品/サービス購入の検討期間は網羅的な情報探索行動をして、実際の購入はオンラインではなくオフラインで行うのが慎重型の典型的なパターンです。オンラインの情報だけで購入決定はせずに、家族・友人・恋人・店舗スタッフなど、周囲や詳しい人の意見を聞いて購入に至るケースが多い特徴があります。

また、慎重型の情報探索行動の動機は「学ばせて」や「解決させて」の割合が大きく、購買行動を慎重に進める傾向があるとされています。

真面目型

真面目型は慎重型とは逆のパターンで、周囲の意見や雑誌などオフラインの情報を重視して、商品/サービスの情報を購入前に漏れなく把握したいと考える人が多いとされています。情報探索行動の動機は「学ばせて」「解決させて」・「心づもりさせて」の割合が高く、第三者の意見や情報を知りたいのが特徴です。

瞬発型

商品/サービス購入の意思決定から実際に購入するまでのスピードが早く、瞬発的な購買行動をとるパターンです。

一方で、情報探索行動の動機では「心づもりさせて」や「答え合わせさせて」の割合が多く、行動傾向としては購入した後、本当に正しかったのかを気にする傾向もあるとされています。

コンテンツの細分化

ここまでご覧いただいた方は、消費者がバタフライ・サーキットの「さぐる」と「かためる」を繰り返す内に、何らかの理由で情報探索から購買へ移行していくことはご理解いただけたかと思います。

情報探索行動の多様化、その要因となる8つの情報探索行動潜在的動機、バタフライ・サーキット、これらを踏まえてマーケティングで成果を出すためには、バタフライ・サーキットの「さぐる」と「かためる」それぞれに属する潜在的動機に整合するようにコンテンツを細分化して発信する必要があります。

上記の通り、消費者は潜在的動機によって求めている情報が異なります。①の動機で情報探索行動を開始した人に⑤の情報は合わないでしょうし、逆も然りです。更に、少しの情報で購買まで至る場合もあれば、多量の情報を得ても購買まで至らない場合もあることから、情報の種類だけでなく、ボリューム・発信する場所などの要素が噛み合った時に消費者の購買トリガーが発動すると、私は考えます。

例えば、周囲の意見が購買意思決定に大きく影響する人であれば、サイト内のコンテンツだけではなくて、同時に口コミサイトやSNSで他者の意見を知りたいと考える人が多いでしょう。そこで③や⑤の情報を得ることが出来れば、購買までのスピードが早くなることが予想されます。

これらを鑑みると、コンテンツの細分化はこのように進められます。

  • 記事 or 画像/動画
  • エッジ or マイルド
  • 自社事例 or 他社事例
  • オンライン or オフライン
  • レポート形式 or インタビュー形式
  • 同ジャンルのアウトライン or ディテール
  • 自社が伝えたいこと or よくある質問への回答
  • コンテンツを発信する場所は自社サイト内 or SNS
  • ボリュームを保ったまま発信 or 適宜区切って何回かに分けて発信…など


このように進めると、コンテンツの細分化も難しくありません。従来の直線的マーケティングではなく、曲線的に全体を捉えてバタフライ・サーキット上に様々な形でコンテンツを馴染ませることが、購買行動の多様化に適したマーケティングではないでしょうか。

まとめ

ここまで、消費者の購買行動を様々な研究結果と合わせてお伝えさせていただきました。BtoBとBtoCでは購買プロセスや意思決定要因などが決定的に異なる点はありますが、バタフライ・サーキットという一定の行動パターンが存在する以上、根本的なマーケティングの捉え方に大きな違いはありません。

昨今のマーケティング界隈では「顧客解像度が重要である」と頻繁に唱えられていますが、BtoBの場合は会社としてだけではなく意思決定層・現場担当者など各ポジションに属する人、BtoCの場合はパーソナルデータ・検討シーンなど、個々の思考や感情を汲み取ってコンテンツへ反映させる工夫を凝らす必要があるでしょう。

マーケティングに絶対の答えは無いからこそ、打ち手の一方的な押し付けるコンテンツではなくて、消費者の潜在的動機を「受け止める」ことが可能なコンテンツの発信に注力するべきだと、私は考えています。

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この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表←事業会社マーケター←新卒でコンサルティング会社。
得意領域はコンテンツマーケティング。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。

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