株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

BtoB企業がデジタルマーケティングを始める際の本当に大切な4つのこと

以前のBtoB企業はテレアポや訪問などのアウトバウンド型が主流でしたが、デジタル化の加速に伴い、日本でもBtoBマーケティングが盛んになっています。

インターネットには関連情報が溢れており、得た情報を参考に各企業が取り組んでいる一方、広告・コンテンツ発信・SEOなどの施策に関する情報が多い印象を受けます。しかし、市場・競合・自社の現状などを鑑みた上で最適な施策は何なのか、どのようなプランで進めていくかなどをまとめた基本方針である戦略が必要不可欠です。

そこで本記事では「BtoB企業がデジタルマーケティングを始める際に重要な4つのこと」と題して、基本事項や考え方についてご紹介しています。

なお、本記事は今後新たにデジタルマーケティングへ取り組むことを検討している企業様向けではありますが、既に取り組んでいる企業様にも改めて把握していただきたい内容です。是非参考にしていただけますと幸いです。

デジタルマーケティングについて以下のようなお悩みはございませんか?

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弊社では、お客様の業界の市場や競合動向などを綿密にリサーチした上で最適なデジタルマーケティング戦略を立案。戦略から施策実行までを包括的にご支援しています。デジタルマーケティングで事業課題を解決したいBtoB企業ご担当者様はお気軽にご相談ください。

BtoBマーケティングの特性を把握

まずは基本中の基本である、BtoBマーケティングの特性把握が大切です。BtoBとBtoCでは購買プロセスや意思決定要因など、明確に異なる点がいくつか存在します。マーケティングという大きな枠組みで見ることも大切ですが、この特性を理解しなければBtoBマーケティングで成果を出すことは難しいでしょう。

下記はBtoBとBtoCで異なる点を列挙してまとめた表です。


ここからは各項目について解説します。

①顧客対象・②顧客数

BtoCは顧客対象が個人で、顧客数も多い傾向があります。例えば、化粧品・飲料水・アパレル・家電・日用生活用品など、気に入ったものを個人が各々購入し、その数も〇万人・〇十万人と膨大です。ターゲット層も広いでしょう。

一方、BtoBは企業や公的機関などが顧客対象であり、殆どの商材が限られたターゲット向けであることが多く、実際に導入している顧客数もBtoCのように多くはありません。

SaaSなど、ツールを提供している一部の企業は導入企業数〇十万社ということもありますが、BtoBの中では少数で、殆どのBtoB企業は顧客企業数〇社・〇十社・〇百社のいずれかであることが多いです。

これらを考慮すると、マス向けなどのリーチ数至上施策よりも、チャネルを限定して特定のターゲットを狙った施策の方が向いていることが判ります。

③利用者・④購買関与者

BtoC商材は利用者=購買者で基本的に購買関与者は一人(購買者)であることが多いです。マンションや車など、高額商材の場合は配偶者や家族と相談しながら検討することもありますが、殆どのBtoC向け商材は前者です。

一方、BtoB商材は利用者=購買者とは限りません。役員や事業責任者などの意思決定層が購買し、実際に利用するのは現場担当者、といったことが多々あります。

また、購買関与者も様々なポジションで複数人が判断します。例えば、加工機械を製造・販売している企業の場合、ターゲットとなるのは、その加工機械を使用して製品を造る企業になります。

加工機械の導入を判断するにあたり、費用や納期等の要件を精査して意思決定者が最終判断をしますが、それまでにはデモ機を使用した現場担当者の意見も必ず取り入れ、初回の問い合わせや打ち合わせなどは総務担当者が行うなど、一つの商材に対して購買者以外の関与者も必ず存在します。

見込み顧客の社内調整・稟議などの意思決定フローを考慮したメッセージをサービス/製品資料・Webコンテンツなどに反映させて、セールス計画と連動する必要があるでしょう。

⑤意思決定重視要因・⑥購買目的・⑦決定要因

BtoC商材の意思決定を左右する要因に、「このブランドの物を所有したい」「これを購入して〇〇したい」などの所有・体験が購買目的であることも多いです。「肌が綺麗になりたい」という悩みに対し、効果があると判断して購入する美容液など、一部は課題解決目的であることも多いですが、BtoC商材では限られているように思います。

一方、BtoB商材では所有・体験が購買目的であることは殆ど無く、「このサービス/製品を導入すると〇〇に際する業務が短縮できる」などの課題解決を目的とした購買行動がメインです。

さらに、サービスの質や製品機能などの必須要件はもちろん、実績・企業情報・費用対効果などの様々な事項を精査して最終意思決定を行います。「営業担当者が親切丁寧に対応してくれたから」といった情緒要件も意思決定要因に含まれる場合もありますが、前述の必須要件や精査事項などを満たしていることが前提でしょう。

この特性に合わせて、課題解決貢献を全面に打ち出したメッセージ性が必須です。

⑧検討期間・⑨購買単価・⑩意思決定参考情報

BtoC商材は検討期間が短期で、価格も〜数万円程度が一般的です。住宅や車などの高額商材もありますが、少数派です。意思決定で参考にする情報もWeb・SNS・マス広告・口コミなど、様々なチャネルで仕入れることができます。

一方、BtoB商材は前述の意思決定フローが複雑なことに加え、単価も数十万円〜数億円以上と高額な商材が多いため、検討期間が長期化する傾向があります。高額商材が故に予算制約の面から、検討期間が数ヶ月〜数年単位であることも珍しいことではありません。

また、意思決定参考情報を得るにも、チャネルが限られています。BtoC商材では比較サイトが数多く存在するのに対し、BtoB商材にフォーカスした比較サイトは少ないです。(SaaSなどのツール系比較サイトは多少存在します)

これらを考慮すると、見込み顧客が知りたいであろう情報をコンテンツ化して、いつでもWeb上で閲覧できる環境を構築しておいた方が良いでしょう。

BtoBの特性に基づくポイントまとめ

ここまでBtoBマーケティングの特性について項目別で解説しましたが、これらを以下のようにまとめることができます。

  • 顧客数が多くないため、ある程度チャネルを絞ってターゲットへアプローチした方が良い
  • 意思決定フローを考慮したメッセージをコンテンツへ反映してセールスと連動
  • 課題解決に貢献できる訴求メッセージを採用
  • 見込み顧客が知りたい情報をいつでも知れる環境をWeb上へ構築


上記各項目に沿ったマーケティングプランの立案が、BtoBマーケティングにおける基本事項です。この基本事項を把握しないままマーケティングを推し進めてしまうと、本来なら投下すべきではないところに予算をかけたり、訴求軸がズレてしまうことが起こり得るため、必ず把握しておきたい事項です。

商材理解・顧客理解

マーケティング戦略を立案する際は、自社の商材について改めて理解を深めることを強く推奨します。「自社の商材だからいまさら…」と考える気持ちも分からなくはないですが、改めて見つめ直すと今まで気付かなかった強みや弱みなどの特性に気付けることがあります。

また、商材と併せて、実際に取引をしている顧客についても改めて理解度を高めたいところです。「顧客はどんなプロセスで自社と契約したのか」「契約に至るまでどのように情報収集を行っていたか」など、定量調査を実施してスプレッドシートへまとめると、今まで見落としていた有効施策や訴求メッセージ改善案などに気づき、今後の展開を考案する際の有力な参考情報として活用出来るでしょう。

しかし、この取り組みはマーケティング部署だけで遂行することが難しく、社内で最も顧客を知っている営業と連携して取り組んだ方が効率的かつ深く顧客について理解することが出来ます。

予め、主要顧客の中から5〜10社程をリストアップしておき、営業担当へのヒアリングを実施します。この時点で企業側が考える意思決定要因や、それまで抱えていたであろう課題をキャッチアップして、その後実際に顧客へヒアリングを行った際の回答と照らし合わせます。

すると、社内で最も顧客を知る営業担当ですら把握していなかった顧客の購買プロセスや情報収集方法などについて知ることが出来ます。さらに、ヒアリングを実施した回答の中で共通するポイントがないかをチェックし、もし共通ポイントが存在すれば、自社の勝ちパターンである可能性が高い要素ですので、保有する各種コンテンツへ反映することで、成果に繋がる可能性も高まるでしょう。

マーケティング戦略を立案する際は、「市場・業界を知ろう」「競合調査をやるべき」などの声をよく耳にしますが、マーケティングの基本である「誰に・何を・どのように伝えるか」のアウトラインは商材理解・顧客理解における取り組みで可視化出来ますので、何をやるにしても必ず行うべきであると、私は考えます。

社内調整

マーケティングにおける社内調整とは、簡潔に言うと「マーケティングを推進するために社内全体を巻き込むこと」です。マーケターに必要なスキルの代表例と言えば分析力・思考力・判断力等の分かりやすいものが挙げられますが、マーケティング部署だけで全てをやり切ることは不可能と考えています。

例えば前述のように、実際の顧客や営業担当に話を聞くことが最も顧客理解を深められる方法です。アクセス解析ツールをいくら眺めていても、真の顧客心理が浮かび上がってくることはありません。

そのために営業を巻き込んで協力を得る必要がありますが、社内調整力がなければ理解してもらえずに、プロジェクトをスムーズに進行することが困難です。だからこそ、社内調整力のあるメンバーをマーケティング部門のマネージャーとして人選することを弊社のお客様にも、よく話しています。


事実、私の周囲にいる優秀なマーケターの全員が社内調整力に長けており、営業・開発・カスタマーサポートなどの他部門をうまく巻き込んでおり、「必要な情報が短期間で集められる仕組み作りを最も注力している」と語る方もいるほどです。

私も10年以上マーケティングの仕事に携わっていますが、コンテンツ制作・SEO・広告運用などの施策が実行出来るマーケターは多く存在する一方で、社内調整力を兼ね備えたマーケターは限られていると感じます。

そのようなマーケターは「マーケティングだけでサービス/製品が売れることはない」と口を揃えて言っており、ビジネス全体を見ているからこそ、他部門と協力してプロジェクトを遂行することの重要性を理解しています。

一見、マーケティングとは無関係に感じるかもしれませんが、ここまでお伝えしたことを鑑みると人選を含む組織構築も戦略の一つと考えるべきではないでしょうか。

BtoBでデジタル完結は難しい

冒頭でもお伝えした通り、マーケティング活動のデジタル化に舵を切るBtoB企業が増えている一方、デジタルマーケティング自体に過度な期待を抱いている企業が数多く存在します。例えば下記の通り、具体例を列挙することができます。

  • Webサイトを大幅に刷新すれば問い合わせが増える
  • Webサイトのコンテンツを拡充すれば顧客への説明が省略出来る
  • メルマガ等で定期的にコミュニケーションをとれば商談及び受注に繋がる
  • 現状での見込み顧客ユーザーはチャネル上で少ないが、施策を継続することで徐々にサイト流入数及びリード獲得数が増える
  • セールス要件をマーケティングで全てカバー出来る
  • こちら(企業)の意図するサイト内行動パターンへユーザーを誘導出来る
  • コンバージョン直結を狙うコンテンツを量産すれば、コンテンツ数に比例してコンバージョン数も増加する…など


上記はあくまでも理想論でしかなく、この理想論を高々と掲げてしまえば、理想と現実のギャップに驚き、最終的には「成果が出ない」と判断してプロジェクト自体が打ち切りになった事例も少なからず存在します。

特に、デジタルマーケティングに初めて取り組む企業の場合、デジタルの力を過信して上記のような罠に陥りがちです。私は10年以上マーケティングに携わっていますが、それほどデジタルマーケティングを魔法のような一手と感じる方は案外多いと感じています。

しかし、デジタルは決して万能ではありません。前述の『BtoBマーケティングの特性』でもお伝えしましたが、BtoBは高額商材であることや意思決定関与者が多いなどの特性があるため、マーケティングのみで購買まで至るケースは稀です。

どんなにWebサイト内を隈なく閲覧しても、営業から直接話を聞きたい担当者は多く、検討期間が長いためオンラインを含めた『人対人』のコミュニケーションが欠かせないでしょう。

いかにデジタルで出来ることが増えたとしても、セールスフローにおいて顧客に最も近いのは営業であることに変わりはありません。

この図式をしっかり理解することで、見込み顧客が殆ど存在しない若しくは極端に少ないチャネル上での過度な予算投下や、『ブランディング』という名の下で実施されるWebサイトの大幅刷新などの、無作為に施策を講じるリスクは回避出来ます。

ここまでだとデジタルマーケティングに取り組むメリットが少ないと感じてしまうでしょうが、デジタル特有の強みも存在します。デジタルの強みを下記の通り列挙することが出来ます。

  • 常に見込み顧客との接点が持てる
  • オンラインでしかアプローチ出来ない見込み顧客も存在する
  • データ蓄積が可能
  • 蓄積データをオフライン施策にも活かせる
  • 小さく瞬時に始めることが可能
  • 獲得リード自体は増やせる
  • 商談前に多くの情報を提供可能
  • 中長期での費用対効果が高い(施策による)…など


BtoBにおけるマーケティングの役割を簡潔に言うと『より多くのホットリードを営業に繋いで受注数を増やすこと』です。デジタルで出来ることと出来ないことを整理しつつ、その中でデジタル特有の強みを活かして、他部署を含め組織的に展開することがデジタルマーケティングの本質です。

さいごに

一定の予算を持ち、マーケティングの専門部署がある企業であれば選択肢が豊富ですが、大半の企業は予算・組織などの制約があるため、選択肢が限られています。さらに、これまでデジタルマーケティングに取り組んだ経験がないBtoB企業の場合、何から手をつけるべきかの判断が難しいでしょう。

オフライン施策が限られている昨今、オンライン施策に転じるBtoB企業は今後ますます増えてくることが予想されます。しかし、再度お伝えしますがデジタルは決して万能ではありません。

如何なる施策を用いたとしても、デジタルマーケティングによってユーザーをコントロールすることは不可能であり、都合良く企業の意図通りにユーザーが行動することはありません。

それでも、小さく始められる・データ蓄積が可能・デジタルでしか訴求出来ないユーザーも一定数存在するなどの、デジタル特有の強みを活かすことでマーケティングの幅は確実に拡げることが出来ます。大切なのは本記事でお伝えした全てのビジネス・マーケティングに通ずる各事項を踏まえた上で、デジタルを活用することです。

多くの企業にとって転換期となるであろう今、少しでも本記事をお役立ていただければ幸いです。


デジタルマーケティングでお悩みのBtoB企業様はお気軽にご相談ください

ルネイムでは、デジタル施策を用いたBtoBマーケティングに強みを持つデジタルマーケティング支援会社です。戦略立案から施策実行まで、顧客企業と一緒にビジネス課題を解決するために奔走しています。

デジタルマーケティングでお悩みのBtoB企業様、良い支援会社が見つからなくて困っている担当者様は、ルネイムまでお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表。BtoBマーケティング・コンテンツマーケティングが得意領域。
プロジェクトでは主にマーケティング戦略立案やリサーチ業務に従事。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。

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