「Webサイト経由の問い合わせが少ない」「広告成果が上がらない」…マーケティングに携わる方が一度は直面したことのある課題ではないでしょうか。これらの課題を解決するために、LPの見直しやWebサイトのリニューアル等、その都度必要なアクションに迫られることもあるかと思います。
しかし、各施策の最適化を図ることでこれらの課題が全て解決できるのでしょうか?もしかすると施策云々以前に、自社のサービスや製品が持つ本当の価値を顧客へ伝えきれていないかもしれません。そんな時に確認していただきたいのがマーケティングメッセージです。
本記事では、マーケティングメッセージの重要性について解説しています。顧客への訴求に悩んでいる方の参考となれば幸いです。
下記のような課題を抱えていませんか?
- マーケティングサイトでコンバージョンが獲得できない
- 見込み顧客への訴求に悩んでいる
- 一貫したメッセージングができていない
- 刺さるコピーが作れない
ルネイムはマーケティング戦略の立案から施策の選定、運用実務まで、ご希望の関わり方でお客様のマーケティング活動をご支援しています。戦略を見直したい方、マーケティングで成果を出したい方は、是非ルネイムをご検討ください。
マーケティングメッセージの重要性
マーケティングメッセージとは、単にサービスや製品を利用するメリットを伝えるだけではなく、顧客が企業やブランドから得られる真の価値を言語化した訴求メッセージのコンセプトです。
マーケティングメッセージの定義は諸説ありますが、ルネイムでは「コピーやクリエイティブを含むあらゆる訴求メッセージの軸となるコンセプト」と定義しており、同じ商材でもマーケティングメッセージによって顧客が感じる価値が異なることも実感しています。
ただし、言葉巧みに顧客を誘導することが目的ではありません。顧客が気付いていない本当の課題に対して本質的な解決方法を示したものがマーケティングメッセージで、サービスや製品の価値を劇的に昇華することができます。
事実、過去に担当したプロジェクトで、Webサイトのコンバージョン率が0.8%程度だったメーカー系BtoB企業のマーケティングメッセージを改善した結果、改善後3ヶ月でコンバージョン率を1.5%まで上げることができました。
もちろん、コンバージョン率改善の代表的施策の、CTAや問い合わせフォーム改善による影響もあると思いますが、メッセージの改善後に実施した見込み顧客インタビューで、改善前と改善後では製品が提供できる価値の理解度や利用意向が大きく上がっており、手応えを感じた事例の一つです。
Webサイトのレイアウトやデザインを修正する際は、多少なりともお金と時間を要する一方で、テキスト変更のみであれば比較的容易に実施できます。
さらに、改善したマーケティングメッセージを提案資料や会社案内等のコンテンツにも反映することで、商談数や受注数を上げることも可能です。
マーケティングメッセージの改善は、全ての企業が今日から取り組むことができ、適切なメッセージング戦略を描ければ、企業やブランドにとって大きな強みとなります。
強いマーケティングメッセージは正しいインサイトから生まれる
サービスや製品の価値を昇華させるほどのマーケティングメッセージを作るためには、顧客自身でも気付いていない本能的な欲求、いわゆる「インサイト」の発掘が必須です。
表面的な課題に対するメッセージでは競合と同じようなメッセージとなってしまい、この場合はどうしてもマーケティング予算が潤沢な企業に分があります。その牙城を崩せる要素の一つがマーケティングメッセージなのです。
インサイトは顧客自身が気付いていない欲求のため、簡単に発掘できるものではありませんが、顧客インタビューやアンケート・行動観察・ソーシャルリスニング等を地道に続けることで見えてきます。
自社のサービスや製品の強みをそのまま伝えただけでは、顧客に響かないで買わずに終わってしまっていたかもしれないモノが、正しいインサイトを発掘してメッセージへ反映できれば、サービスや製品の価値が急激に高まり「買わずにはいられないモノ」にまで昇華させることが可能です。
例えば、某消費財(洗濯用洗剤)メーカーは洗浄力に優れた洗剤のマーケティングメッセージを「他とは違う洗浄力で白く洗い上げることができる」と設定して打ち出したものの、思うように売れませんでした。
その後、何度もマーケティングメッセージやプロモーション全体の改善に取り組む中で消費者調査を続けるうちに、ある事実にたどり着くことができました。それは、「消費者が洗浄力を確かめるポイントは色ではなく干した後の匂いだった」という事実です。
これを機にマーケティングメッセージを「(他とは違う洗浄力だから)匂いの元になる菌まで落とす」と変更したところ、それまでとは打って変わり、もの凄い勢いで売れ始めた、というエピソードが印象に残っています。
他にもインサイトに関するエピソードとして印象に残っているのは、日清食品の「カップヌードルリッチ」です。
マーケティング情報サイト『MarkeZine』が日清食品の藤野誠氏へ取材した記事ではこのように掲載されています。
2016年に45周年を迎えたカップヌードル。当時の主要購買層だった20歳の人も65歳となりましたが、60歳を越えたあたりで購入率が低下することが日清食品が抱える大きな課題でした。そこで同社では、シニア層に食べてもらえる新商品の開発に乗り出したのです。
しかし、シニア層と言っても一括りにはできません。同社の藤野誠氏は、消費行動が活発でSNSも使いこなすアクティブシニアと呼ばれるクラスタに注目。健康志向かと思いきや、食事の写真を見たら意外と自由に好きなものを食べていて、健康のためにおいしさを諦めたわけではないことがわかったそうです。
それを受けて開発されたのが、贅沢なスープにこだわりつつ健康にも配慮した、通常のカップヌードルより値段の高い「カップヌードル リッチ」。テレビ番組に取り上げられ、またターゲットと親和性の高い新聞広告に注力した結果、発売7ヵ月で1,400万食を突破しました。
「60歳以上でも美味しければカップヌードルも食べる」というインサイトを発掘することで、「シニア層=健康志向だから若者向けのカップヌードルを食べない」という先入観から脱却し、商品開発、そしてマーケティングメッセージの設定によって成功した事例です。
このように、正しいインサイトが発掘できればサービスや製品の価値を昇華させるだけでなく、競合競争力・製品アイデア等、あらゆる面で経営や事業にプラスの影響を与えます。正しいインサイトを発掘するために、とにかく顧客との接点を持ち続け、根気強く観察しましょう。
インサイトからメッセージへの転換
インサイトを発掘した後は、マーケティングメッセージへと転換します。
マーケティングメッセージは基本的に、発掘したインサイトに対する解決案がベースの考え方で問題ありません。つまり、インサイトが正しくなければ顧客を動かすマーケティングメッセージは作れないということです。
前述の消費財メーカーで説明すると、正しいインサイトを発掘する前は、洗浄力が競合製品よりも優れていることをそのままマーケティングメッセージへ反映していましたが、消費者のインサイトが「匂い」と気付いた後は「匂いの元になる菌まで落とす」へと転換しています。
どちらも「優れた洗浄力」という強みは理解できます。しかし、後者の方が消費者にとって、悩みを解決してくれる根拠がより強く実感できるため、同じ製品でも消費者へ提供できる価値を急激に高めることができるのです。
なお、インサイトを発掘してマーケティングメッセージへ転換できたとしても、それで終わりではありません。改善後も、事業部で追っている各指標やWebサイトの数値等と照らし合わせて、改善したマーケティングメッセージが合っているのかを検証してください。検証で最も分かりやすいのは広告です。
広告文やLP(ランディングページ)で使用する文言を数パターン作成するABテストは、コンバージョン率やクリック率などの指標で、ユーザーの反応が分かりやすいため、マーケティングメッセージの検証に向いています。
検証した結果、効果的なマーケティングメッセージにたどり着いたら、マーケティングサイト・営業資料・会社案内等のあらゆるコンテンツへ反映し、一貫したメッセージングを徹底してください。
メッセージングのみに注力するのは本末転倒
ここまで、マーケティングメッセージの重要性や、鍵となるインサイトについてお伝えしましたが、冒頭で「真の価値を言語化したものがマーケティングメッセージ」と説明したように、ベースにあるのはサービスや製品が提供できる価値です。
つまり、顧客になんらかの価値を提供できることが大前提のため、価格・機能・サポート体制・商材の独自性等、競合と比較して優れている製品やサービスでなければ、試行錯誤して考えたマーケティングメッセージを打ち出してもメッキが剥がれ、解約案件の増加やリピート購買数の減少等、結果的にLTVが上がりきれないプロダクト化してしまいます。
LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー):日本語に訳すと「顧客生涯価値」となり、ある顧客から生涯に渡って得られる利益のこと
何度も例に挙げますが、前述の洗濯用洗剤がマーケティングメッセージの改善によって売れたのは、競合製品よりも圧倒的に優れた洗浄力があったからです。カップヌードル リッチも、他のインスタントラーメンには無い味の独創性や健康を考えた成分配合があったからでしょう。
顧客に選ばれるサービスや製品には、理由となる「価値」が必ず存在します。マーケティングメッセージを考える際は、最初に自社商材の価値を既存顧客へのインタビュー等で徹底的に整理した上で、インサイトの発掘→マーケティングメッセージへの転換のフローで取り組んでください。
さいごに
世の中に浸透している製品やサービスは、必ずと言って良いほど、何度もマーケティングメッセージを改善しながらプロモーションを展開してきました。時代とともに売り手・買い手を取り巻く環境は常に変化し続けるため、本記事でお伝えしたインサイトの発掘やメッセージへの転換は、終わりがない取り組みのようにも思えます。
しかし、オンラインでの効果検証が容易になった現代では、そのハードルも以前よりは低くなったはずです。マーケティングに課題を抱える方は、今一度、自社が提示しているマーケティングメッセージを見直し、売れるメッセージ作りに挑んでみてはいかがでしょうか。
下記のような課題を抱えていませんか?
- マーケティングサイトでコンバージョンが獲得できない
- 見込み顧客への訴求に悩んでいる
- 一貫したメッセージングができていない
- 刺さるコピーが作れない
ルネイムはマーケティング戦略の立案から施策の選定、運用実務まで、ご希望の関わり方でお客様のマーケティング活動をご支援しています。戦略を見直したい方、マーケティングで成果を出したい方は、是非ルネイムをご検討ください。