オウンドメディアの立ち上げ時に注意する5つのこと

ルネイム代表の湯田(@yuta_lunaim)です。オウンドメディア戦略を用いたマーケティング活動は、業界を問わず多くの企業が、新規顧客開拓・見込み顧客の育成・顧客エンゲージメント向上など、様々な目的を持って取り組んでいます。その目的によってオウンドメディアが担う役割は異なりますが、運用が軌道に乗れば、企業にとって大きな強みとなります。

しかし、成果へ繋げることが出来ないまま、コンテンツ(記事)の更新をストップ若しくはメディア自体を閉鎖する企業も多いのが現状です。これまでに多くのオウンドメディアを見てきた中で、成果へ繋げることが出来ていないメディアの多くが、運用開始して間もない、初期フェーズに一定の要因があることが分かっています。逆を言えば、初期フェーズに正しく運用して軌道に乗せることが出来れば、その後の成果に繋げやすいとも言えるでしょう。

本記事では「オウンドメディアの立ち上げ時に注意する5つのこと」と題して、これからオウンドメディアを立ち上げる企業様や、既にオウンドメディアを運用中で思うような成果へ繋げることが出来ておらずお悩みの担当者様向けに、私たちが実際に企業のオウンドメディア戦略をご支援させていただく際にもお伝えしていることをまとめています。

技術に投資する

自社メディアの運用が決まり、戦略や方針を策定した後の初動で着手することがオウンドメディアサイトの制作です。サイト制作はWeb制作会社など外部パートナーへ依頼するケースが殆どだと思いますが、この場合の選定基準はオウンドメディアの制作経験が豊富か否かです。

コーポレートサイト・サービスサイト・オウンドメディアなど同じWebサイトの中でもいくつか種類があり、それぞれの特性やベストプラクティス(最も効率の良い技法・手法)も異なります。オウンドメディアにはオウンドメディアのベストプラクティスが当然ながら存在します。

オウンドメディアは、コンテンツ(記事)ページがメインで構成されているWebサイトですので、流入の大半がコンテンツ経由となります。コンテンツページからどのようにサイト内の回遊を促すかや、コンバージョン(問い合わせ・資料請求・予約などサイトの目的)へ繋げるかなど、オウンドメディアならではのサイト設計技術やマーケティングの深い知見が求められます。

私の経験上ではありますが、上記のようなオウンドメディアサイトをWeb制作会社へ依頼する場合、200万円前後の予算を確保出来れば運用していく上で十分に必要な機能・設計が施されたサイトを制作することが出来ます。

もし、既にサイトを立ち上げて運用中の企業やサイト制作に予算を割けない企業の場合、部分的改善であれば新規制作やリニューアルほど費用は掛からないので、運用を続ける中で少しずつ取り組んでください。実際に弊社がオウンドメディアのコンサルティングを担当する際、規模感を問わずサイト改善から着手する場合が殆どです。

オウンドメディア運用となるとコンテンツ発信のみに注力する方も少なくないですが、Webサイトはデジタルマーケティングの母体であり、ユーザー流入・コンバージョン獲得双方を促進するためにも可能な限り最初に取り組むべきです。

ユーザーが閲覧・操作しやすいサイト環境やメディア内のコンテンツを検索エンジンへ正しく伝えるための設計がなされていなければ、いくら良いコンテンツを発信していても効果が半減してしまいます。多少の費用・時間は要してしまいますが、初動の技術投資でサイトにギアを入れた上でコンテンツ発信に注力するようにしてください。

短期間での結果を求めない

オウンドメディアで成果が見えてくるまでは一定の期間を要することはご存知の方も多いと思いますが、その理由は主な流入経路が検索エンジンであるからです。立ち上げ時は検索エンジンからの評価が低いので、上位表示を狙っているキーワードの検索順位も安定しません。つまり、オウンドメディアを運用する上で避けては通れない課題がSEOとなります。

期間も市場や競合の状況によって異なり、アクセス数が増えてくるのは順調に運用したとしても半年〜1年程度が一般的とされています。SNS経由での流入も考えられますが、立ち上げて間もないメディアのコンテンツシェア数は決して多くありません。


上記は弊社が過去にご支援させていただいたオウンドメディアのアクセス数推移グラフです。ご覧の通り初動では目立った伸びはありませんが、運用開始から三ヶ月を過ぎた頃から少しずつアクセス数が伸びていることが分かります。更に運用開始から一年後に月間20万PV、今では月間100万PVを超え、多くのコンバージョンを獲得出来るまで成長しましたが、常にユーザーニーズを追求したコンテンツの企画/制作・リライトとSNS運用を愚直に継続した結果です。

一定のコンテンツ数やコンテンツの質など、定量・定性の双方が求められるのがオウンドメディアマーケティングです。地道に良いコンテンツを発信し続ければ徐々にユーザーが増えて、サイトのファンになり、商品(製品)/サービスに興味を持つ。ここまで至るには相応の時間が必要であり、そこに抜け道は存在しません。

オウンドメディアは広告ではないので、立ち上げて間もない時期からアクセス数やコンバージョン数が著しく増える施策ではありませんが、運用開始から三ヶ月程度でアクセス数やコンバージョン数が増えない状況から、運用をやめてしまったケースも少なからずあります。チームや社内でこれらの共通認識を持ち、中長期目線で運用を継続することこそが成果までの最短距離であり、最も成果へ繋がる可能性が高い取り組み方です。

運用体制の整備

オウンドメディアを運用する上での課題としてよく挙げられるものが、体制作りです。コンテンツの企画/制作・編集・デザイン・入稿作業・効果検証・リライトなど、メディア運用は多くの業務が伴います。運用体制が整備されていない中で見切り発車してしまうと、これらの業務を遂行することが困難になり、チームの疲弊・更新ストップの要因となりますので、万全の体制で運用を開始しなければなりません。

元々、マーケティング部署がある企業であればまだしも、多くの中小企業はリソースの問題で専門部署を設けることが出来ず、担当者は他の業務と兼務しているケースが多いと思います。そのような場合は、社外パートナーを含めてチームを編成すると良いでしょう。

一般的にはライティング業務を社外のライターへ依頼することが多いですが、ここでの注意点はコンテンツの質を担保するための工夫を怠らないことです。ライティング技術は必ずしも全てのライターが均一ではないので、コンテンツの構成やメディアの方向性などを綿密に打ち合わせた上で依頼しなければなりません。ディレクション能力が非常に問われるポイントです。社外のライターを探す際は以下の方法があります。

  • 記事作成代行会社
  • クラウドソーシング
  • TwitterなどのSNS


記事作成代行会社の場合は、代行会社が設ける一定の審査基準をクリアしたライターの場合が多く、中には有名メディアでライティングを担当しているような人もいます。ライターのランクによって費用が異なり、高ランクのライターや専門分野(医療・法律など)であれば1記事数万円単価ですので、予算に応じて検討する必要があります。

クラウドソーシングやTwitterなどのSNSは、気軽にフリーランスのライターを探すことが出来て、特にクラウドソーシングは記事作成代行会社と比較すると費用は安価です。しかし、ライターのスキルが不透明な状態ですので、中には執筆してもらったけど記事化出来ないような質のコンテンツが戻ってきたという声も耳にします。

上記を極力回避するためにも、テストライティングにて仮のテーマで執筆してもらうのも一つの手です。同時に複数名のライターへテストライティングを依頼して、その中から気に入ったライターのみ採用するフローであれば、運用開始後に起用したライターのスキルが低く、慌ててライターを探し直す事態にならなくて済みます。

また、ライティング以外の業務あれば、オウンドメディア支援会社などの外部エージェンシーの力を借りるのも一つの手段です。本来であれば全て社内で完結できることが一番だと思いますが、外部リソースを活用することで社内では気付かなかったことが発見出来るなど、第三者の意見を取り入れることで成功した事例も多くあります。

まずはスムーズに運用を実行出来る仕組みを作ることが大切です。外部へ依頼するとその分費用がかかりますが、支援会社が持つノウハウを社内へ取り入れることも出来るので、必要に応じて検討してみましょう。

ガイドラインとレギュレーションの作成

企業がオウンドメディアを運用する際、ライターや校閲担当者などは外部パートナーを起用して、社内外混同のチーム編成で取り組むケースもあるかと思います。一つのメディアを複数名で運用していく中で、属人的理由による更新遅延・メディアコンセプト乖離などでお悩みの企業も少なくありません。

そこで役に立つのがガイドラインとレギュレーションです。運用上のルール・思考・作業フローなどを共有文書化してチーム全員がルールに則って各業務にあたることで、運用効率化とメディア方向性の統一を図ることが出来ます。

ガイドラインは大まかな注意事項やコンテンツの方向性などメディア全体の方針をまとめたもの、レギュレーションはコンテンツ制作後のチェックなどの更に詳細のルールを明記したものです。ガイドラインとレギュレーションの作成は手間がかかりますが、文書内で解決できる事項に関しては各々で進められるので、結果的に運用工数を削減することが出来ます。それぞれの作成方法については以下を参考にしてください。

ガイドライン

ガイドラインでは、目的・業務フロー・外部パートナーとの連携方法など、メディア全体の運用方針を定めます。立ち上げ時は全員で意識して取り組んでいても、運用を継続していく中で意識の薄れやタスクミスなどのトラブルが起こる可能性も十分にあります。以下の項目例に沿って方向性をまとめ、常にチーム全体で同じ視座を保てるようにしましょう。

レギュレーション

レギュレーションでは、よりコンテンツにフォーカスして、文章や表記仕様などの事項を細かくルール化します。ガイドライン同様、以下の項目例に沿ってまとめ、メディアやコンテンツの統一感を保てるように工夫を凝らしましょう。


これらの項目は、あくまでも参考項目です。また、メディアによって目的や方針が異なるので、複数メディアを運用している企業であれば、メディアごとにガイドラインやレギュレーションを定めた方が良いでしょう。

集客チャネルの分散設計

先述の通り、オウンドメディアの主な流入経路は検索エンジンですが、流入経路が多ければ多いほど当然ながら好ましいです。例えばSNSからの流入経路を構築することが出来れば、検索エンジンのみよりもメディアの成長スピードが早く、効率的にユーザー数を増やすことが出来ます。

コンテンツが評価され、SNSで拡散されれば多くのユーザーをメディアへ誘導することが可能ですが、闇雲にコンテンツの更新情報を掲載するだけのSNS運用であれば流入経路としての役割を果たすことは難しいでしょう。ユーザーとのコミュニケーションを含めてメディアのアカウントを育てなければなりません。

しかし、SNSが社会的インフラとなった昨今、オウンドメディアを含むデジタルマーケティング施策において、決して無視することは出来ないでしょう。以前私が執筆した下記のコンテンツで、SEOとSNSは非常に密接な関係にあるとも言及しています。

参考記事:SEO-攻略思考からの脱却と今後の動向-

SNSでのコンテンツシェア自体はnofollow属性が付与されているので被リンク扱いにはならず、SEOに直接的な影響はありませんが「メディアがいかに社会と繋がっているのか」「どんな人が執筆したコンテンツなのか」をSNS上でユーザーへ届けることで、運営者の透明性や専門性などの訴求へ繋がり、その結果が検索順位にも顕著に表れています。

そして、SNSでメディア内のコンテンツが拡散されれば、UGC(User Generated Content=一般ユーザーによって生まれたコンテンツ)が発生して、指名検索での流入が増える可能性も十分にあります。実際に成功しているメディアはSNSを熱心に運用しており、ユーザーとのコミュニケーションも非常に上手い印象があります。

その結果、SNSがきっかけでメディアの認知度が高まった事例も数多くあり、これらを鑑みると、立ち上げ時からコツコツとSNSアカウントを育てて検索エンジン以外の流入経路構築を図ることは、今後のオウンドメディアマーケティングに欠かせない要件ではないでしょうか。

また、検索エンジン・SNS以外の流入経路だと、メディア運用を通して得た、調査結果や研究レポートなどのプレスリリース配信や、オフラインでのイベント開催などが考えられ、運営するメディアと繋がるきっかけが多ければ多いほど、集客チャネルの分散が進んでいると言えるでしょう。

まとめ

オウンドメディアの立ち上げ時は0の状態ですから、まずは1にすることが大切です。0からは何も生まれませんが、1になればその後の運用次第で100にも1000にも進化することが可能です。本記事では、1にするために必要な5項目についてお伝えさせていただきました。

オウンドメディアマーケティングは長期的施策ですので、運用しながら多くの壁にぶつかることでしょう。しかし、壁を乗り越えて苦労しながらも大切に育てたメディアで花が開いた時は、競合他社が羨むほどの効果を発揮すると断言出来ます。

新たに取り組む企業も撤退する企業も多いのがオウンドメディアであり、デジタルマーケティング業界では常に「オウンドメディアで成果を出すためには」「良いコンテンツを制作する方法」などの議論が繰り広げられています。

本記事でお伝えさせていただいたことも、弊社や私が考える項目の一端であり、他にも注意すべき点はあるでしょう。しかし、私たち自身がこうして自社のサイトでコンテンツを発信して、多くのお客様から「記事を読んで」とお問い合わせをいただいており、オウンドメディアを含むコンテンツマーケティングの効果を体感している次第です。

オウンドメディアマーケティングにおいて、セオリーとされる一定のパターンは存在しても、ジョーカー的方法は存在しません。大切なことは、ユーザーへ愛されるメディアとなるための努力と工夫を継続することであると、私は考えます。

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この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表←事業会社マーケター←新卒でコンサルティング会社。
得意領域はコンテンツマーケティング。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。

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