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株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

BtoB企業のデジタルマーケティングが重要視される3つの理由

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BtoB企業がデジタルマーケティングを積極的に取り組むことは今でこそ珍しいものではなくなりましたが、数年前までは今ほど重要視されていなかったように思います。テレアポ・DM・展示会・飛び込み営業などのオフラインよる営業活動が主流であり、実際にそれらで売上が成立していたからです。

しかし、コロナショック以降は強制的にそれらの営業手法を用いることが出来ない環境下に置かれ、緊急事態宣言解除後の今もコロナショックで生まれたオンライン思考は、多くのBtoB企業にとって避けては通れない課題となりつつあります。

様々なメディアでも「DX」と題したコンテンツを目にする機会が増えましたが、BtoB企業のデジタルマーケティングに関しては以前より重要視されており、その中でもコロナショックは1つの転機となる出来事だったのではないでしょうか。

実際にBtoB企業様からのご相談も多く、知り合いのマーケティング支援会社でも同様だと聞いています。今までなんとなく取り組んでいなかったデジタルマーケティングについて「本気で取り組んでいかなければならない」と、この数ヶ月で大きく舵をきった企業も多いことでしょう。

BtoB企業のデジタルマーケティングの重要性ついて、多くのマーケティング支援会社やBtoBマーケティングに携わる方々が、これまでにも数々言及されていますが、私が感じているBtoB企業がデジタルマーケティングへ取り組む理由を解説させていただきます。

目次

  • 企業の情報収集手段の変化

  • 購買プロセスの変化

  • デジタルコミュニケーションの有効性

  • まとめ

企業の情報収集手段の変化

ビジネスにおいて情報の鮮度・信頼性はとても大切な事項ですが、BtoB業界では狭いコミュニティの中で情報をやりとりする文化が根強くありました。冒頭でもお伝えしましたが、テレアポ・DM・展示会・訪問営業などが主流であり、営業マンを通しての情報提供が必須とされてきたからです。

しかし、この数年で明らかにその流れが変化しており、インターネットの普及によって、企業の情報収集活動が急速にオンライン化しています。

トライベック・ブランド戦略研究所社が毎年「仕事上の製品・サービスの情報源」というテーマで調査・発表している「BtoBサイト調査」は業界でも有名な調査ですが、2019年では情報収集活動の66.6%が企業のWEBサイトであるとの調査結果を発表しています。

また、オンラインという点ではWEBサイトに限らずSNSやウェビナーなどによる情報収集も盛んに行われており、企業と顧客間の接点が多様化しています。オンライン化が加速して、オフライン一本では明らかに機会損失が生まれるでしょう。

企業の情報収集手段の変化を表した図


テレアポや展示会などのオフラインが非有効というわけではなく、商材によってはオフラインが有効なものもあります。

しかし、スマホの普及やSNSの台頭により、以前にも増してデジタル接度が高まっており、デジタルコンテンツを通して継続的に顧客と接点を持てる環境にあります。そんな環境下にもかかわらず、オンラインで顧客との接点を持てないことは、企業にとってプラスとは言えないのではないでしょうか。

実際の商談は営業マンによる訪問商談若しくはオンライン商談で行われますが、商談以前の情報収集段階で、ある程度の情報を担当者へ届けることが出来れば、その後のセールスサイクルも縮めやすくなると、私は考えています。

購買プロセスの変化

BtoB企業の購買プロセスにまつわる調査を、2014年にGoogle社とMillward Brown Digital社が共同で行っており、購買行動の初期に行われる情報収集を担う人の約半数が35才以下のデジタルネイティブ世代であると発表しています。

これは日本でも同じことが言えるでしょう。例えば、新たに製品/サービスなどの導入を検討している企業があったとします。その際、経営陣ではなく、指示を受けた現場の実務担当者が初期段階での情報収集を行うことが多いでしょう。経営陣の場合は40代・50代以上の年齢の方が多いと思いますが、現場の人間は20代・30代の社員がメインであり、日頃からデジタル接度の高い世代です。

情報収集活動を担う実務担当者にWEBで自社の存在を知ってもらうことは、新規商談獲得への第一歩と言えるでしょう。

そして、情報収集後、担当者との商談を終えて最終意思決定は経営陣が行いますが、同調査では81%の実務担当者の意見が最終意思決定に影響を与えていると発表しています。実務担当者は商談を経て、経営陣へ報告するでしょう。その報告内容に、推奨する製品/サービスとその理由が明記されていれば「現場の声」として、最終意思決定へ影響を与えることはイメージしやすいと思います。

これらを鑑みると、オンラインにて現場の担当者へアプローチ出来ることは、その後の商談に繋がりやすく受注率も高めることが可能であることが分かります。

更に同調査では、

  • 購買プロセスに関わる人々は、購入先のWEBサイトへアクセスした時点で、購入意思決定を57%完了している
  • ネット利用担当者の90%が、BtoB製品の情報収集を行う際に検索機能を使い、特定のベンダーを見つけるまでに、平均12回の検索をオンライン上で行っている


と発表しています。この調査結果はBtoB企業のマーケティング職・営業職の間では大変有名な調査結果です。

以前であれば、WEBサイトのフォームから問い合わせをして、あとは営業マンによる訪問→製品/サービス紹介→クロージングという営業マンの力量によって受注・失注の結果が左右されてきましたが、実務担当者が知りたい情報をオンラインで適切に届けることが商談結果の大きなウェイトを占めているとも言えるでしょう。

デジタルコミュニケーションの有効性

BtoBの購買プロセスは長期的かつ意思決定者も多層複数であることなどの特性から、継続的なコミュニケーションを求められます。以前はそれらを全て営業マンが担っていましたが、見込み顧客との接点は前述の通り、特にデジタル部分の多種多様化が進んでいます。

オフラインだけの接点では、受注以前に商談数を保てなくなってきたことに加え、それまで営業マンが担ってきた顧客との継続的なコミュニケーションをオンラインでも実行していかなければなりません。特に、コロナショックによってオフライン一本だった企業でさえもオンライン化を余儀なくされ、今後は益々その流れが加速していくと思われます。

今はスマホが普及し、外出先や移動中でも個人が情報を探せる時代となりました。言い換えれば、企業はいつでも顧客と繋がれるということでもあります。自社サイトでのコンテンツ発信や、デジタル広告などで新規リードを獲得することも可能でしょう。

実際に弊社が新しいサービスやツールを導入する際のベンダーを決める工程において、

  • WEB上でよく見かける
  • 記事コンテンツを読んだことがある
  • SNSでその会社の人を知った
  • 社員にSNSでシェアしてもらった


などがきっかけで問い合わせをすることが多いです。本記事をご覧いただいている方の中にも、同様のきっかけで問い合わせ先の企業を決めたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

BtoBサイトでは指名検索(会社名検索)が多い傾向にあるのですが、デジタルコミュニケーションによって会社名や代表者名などを記憶しており、自然と選択肢に含まれることが理由の1つではないでしょうか。デジタルコミュニケーションが積極的な企業は、競合よりも一歩優位な状態でスタートすることが出来るので、自ずと受注数も増えるでしょう。

上記は正にデジタルコミュニケーションを続けた成果であり、BtoBにおいても有効であることが分かります。前述でお伝えした通り、最終意思決定に実務担当者の意見が大きく影響する理由は、WEBやSNSの台頭で個人が情報を得やすくなったことも影響しているのだと、私は考えています。

まとめ

本記事の内容をまとめると、BtoB企業のデジタルマーケティングは以下の要因を考慮すれば、取り組むべきであることが分かります。

  1. 企業と顧客間の接点が増えてオフラインだけでは対応が難しくなった
  2. 商談化率・受注率へも大きく影響する
  3. 継続的なデジタルコミュニケーションは商談機会を生む


BtoBは法人がお客様となるが故に、どうしても対組織として捉えがちですが、実際は組織に所属している個人にアプローチすることを忘れてはいけません。そこには必要な情報を調べるという個人の行動パターンがあり、デジタルコミュニケーションによって得られる親近感などの情緒的要素も含まれるでしょう。

今後は私たちの生活や習慣など、あらゆる面でデジタル化が進んでいくことが予想されます。また、在宅勤務の増加に伴って、益々オンラインでの情報収集・コミュニケーションが重要となり、デジタルを活用したマーケティング活動・営業活動が求められるのではないでしょうか。

自社のマーケティング活動に課題を抱えている方は多いと思いますので、本記事をご覧いただき、社内で取り組んでいくきっかけとなりましたら幸いです。

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この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表。BtoBマーケティング・コンテンツマーケティングが得意領域。
プロジェクトでは主にマーケティング戦略立案やリサーチ業務に従事。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。