2020.10.09
2021.01.13
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株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

BtoB製造業Webサイトの制作時に掲載する9つの必須コンテンツ

BtoB製造業Webサイトの制作時に掲載する9つの必須コンテンツメインビジュアル

ルネイム代表の湯田(@yuta_lunaim)です。弊社ではBtoB企業を中心に様々な業界のお客様のデジタルマーケティングを総合的に支援しており、Webサイト改善から着手することが殆どです。

Webサイト改善は、マーケティング業界で「バケツの穴を塞ぐ」と表現されることが多いですが、Webサイトへのユーザー流入を増やす施策を用いる前に、受け皿の役割を果たせるWebサイトとして機能させることが求められます。本記事テーマのサイト内コンテンツを充実させることも、その役割を果たすためです。

特にコロナ禍では多くのBtoB企業が、新規リード獲得のメイン手法だった展示会がなくなった影響を受けており、本記事のテーマであるBtoB製造業も例外ではありません。以前は名刺代わりとしての認識でしかなかったWebサイトを活用して、インバウンド型マーケティングへの注力を決めた企業が激増しています。

BtoB製造業Webサイトは、カタログページなどを含めるとボリューミーなサイトであることも珍しくありません。海外取引を行っている企業も少なくないので、その場合は多言語化の必要性も出てきて、弊社体験ではありますが、BtoB製造業Webサイトに携わるプロジェクトは大型案件の場合が多いです。

BtoB製造業は戦後の日本経済を支えてきた産業の一つであり、その技術力は世界トップクラスを誇っています。企業数も多く、これだけの背景があるにもかかわらず、Webやデジタルマーケティングが浸透していないのがBtoB製造業です。

同時にBtoB製造業のデジタルマーケティングは、明らかに他業種とは異なる観点の必要性が生じるため、BtoB製造業を支援できるマーケティング支援会社は非常に少ないと感じています。

そこで本記事では「BtoB製造業Webサイトの制作時に掲載したい9つのコンテンツ」と題して、BtoB製造業がWebサイト制作・リニューアル含む改善に取り組む際に、必ず用意しておきたい9種類のページ・コンテンツと、その詳細について弊社体験を基にご紹介しています。

BtoB製造業WebサイトにはBtoB製造業Webサイトのベストプラクティスが存在し、本記事でご紹介しているコンテンツ展開もその一つです。BtoB製造業の経営者様・担当者様は是非、参考にしていただければと思います。

なお、本記事では工業機械製品を取り扱っている企業を想定して解説しています。

目次

  • 事業紹介

  • 製品情報

  • 施設・設備紹介

  • 導入事例

  • 製品カタログ請求

  • 問い合わせ

  • 新着情報

  • ブログ

  • 会社情報

  • 最後に

  • ルネイムのBtoB製造業向けデジタルマーケティング支援について

事業紹介

自社製品の概要や自社の強み・特徴などをまとめたページです。BtoBサイトでは、指名検索(社名やサービスをキーワードとして検索すること)でのユーザー流入も多く、テレアポや展示会で企業名や製品を知り検索に至る、といった顧客の行動パターンが一定数存在します。

また、検索エンジン経由でBtoB製造業Webサイトを訪れるユーザーは、特定の製品を認知しており、何らかの課題を抱え、新製品の部品を製造できる会社や付加価値を得るための機械や製品を製造することが出来る会社を探している企業担当者であることが多いでしょう。

例えば「スピンドリル」と検索するユーザーはスピンドリルの活用シーンやスピンドリルを導入するメリット・課題解決の可能性などを知っており、スピンドリルを知らない人はそもそもスピンドリルで検索する可能性は低いです。

これらを鑑みると、BtoB製造業Webサイトを訪問するユーザーは明確な目的を持ち、情報獲得意欲の高いユーザーであることが多いので、事業紹介セクションでは積極的に自社の技術力を含めた強みや競合他社との違いなどをコンテンツ化して訴求します。

特に日本のBtoB製造業の技術力は世界トップクラスであり、特許技術を保有している企業が数多く存在します。見込み顧客へアピール出来る情報は、隈無く掲載しましょう。

製品情報

製品説明が記載されているPDFファイルを添付しているだけのページや、説明事項が少なすぎて取り扱い製品のスペックや使用用途などが不明確な製品情報ページを見かけることも多いですが、BtoB製造業Webサイトのメインセクションの一つが製品情報ページです。

前項の通り、ユーザーは製品についてある程度の情報は得ており、ユーザー自体もプロフェッショナルの可能性が高いので、自社で取り扱っている製品別に製品特徴や仕様などを細かく掲載します。製品情報ページは来訪ユーザーが高確率で閲覧するページで、その後の問い合わせや製品カタログ請求などのアクションにも繋がりやすいでしょう。

製品情報ページには問い合わせ・製品カタログ請求などフォームセクションのCTA(コール・トゥ・アクション=ユーザーに行動を喚起するボタンや画像)を設置して、各種問い合わせへの導線設計は必ず行わなければなりません。特に、取り扱い製品が多い企業の場合、製品個別に対してCTAを設置した方が好ましいでしょう。

例えば「スピンドリル0000」という製品ページに設置する製品カタログ請求のボタン型CTAであれば、使用する文言は「製品カタログ請求」ではなく、「スピンドリル0000の製品カタログを請求する」と表記した方が、ユーザーは分かりやすいので行動を起こしやすくなります。

製造業が取り扱う製品名は、記号や英数字などの型番が多く「スピンドリル0000」「スピンドリルA-0000」のように似た名称で異なる製品展開の場合もあるので、可能な限り分かりやすく設計する必要があります。

また、可能であれば、製品情報と併せて製品動画を掲載すると良いでしょう。実際に製品を使用している様を撮影した動画か、アニメーション動画を用いることで、見込み顧客は製品導入後のイメージがしやすくなります。

施設・設備紹介

施設・設備紹介セクションでは、製品が作られている工場や工場内の設備を掲載します。

過剰に良く見せる必要はありませんが、最近ではVP(ビデオパッケージ)と呼ばれるナレーション入りの動画を掲載している製造業Webサイトも多く見られます。文字や画像だけでは伝え切れない情報をVPで分かりやすくして、視聴ユーザーへインパクトを強く残すことができます。

ユーザー心理からすると、どんな施設でどのように製品が作られているのかは、問い合わせ前の段階で必ず知っておきたい情報であり、安心して依頼出来る環境か否か、判断材料の一つとするでしょう。製造工程も併せて掲載することで、技術力の訴求も図れます。

また、設備・業務別の責任者(スタッフ)紹介などを掲載している製造系Webサイトもあり、実際に製品を製造している人がどんな人なのかを見込み顧客へ伝えることで、信頼感・安心感の訴求が図れます。

オンラインだけで自社の全てを伝えきることは難しいですが、可能な限り透明性を持たせて少しでも多くの情報を自社サイトで伝えようとする工夫は大切です。

導入事例

導入事例セクションでは、既存顧客や過去に取引のあった企業に対しての導入事例をまとめて掲載します。事例ページは製造業に限らず、BtoB企業サイトでは鉄板のコンテンツです。

これまでに取引のあった企業名と取引内容(どの製品を導入していただいたのか)をまとめたものでも構いませんが、可能であれば実際に顧客企業へ取材して、インタビュー記事として発信した方が、見込み顧客の導入後イメージがしやすいでしょう。

インタビュー記事は事前に顧客企業へ依頼後、取材当日の質問内容をまとめたワークシートを顧客企業へ共有しておくことで、当日の取材がスムーズに進行出来るでしょう。質問内容は主に以下の事項で構成されます。

  • 弊社製品導入前にどのような課題を抱えていましたか?
  • 弊社及び弊社製品を知ったきっかけは何でしたか?
  • 弊社製品の導入を決めた理由は何でしたか?
  • 弊社製品を導入してから課題解決への貢献はいかがですか?
  • 弊社のサポート体制はいかがですか?…など

BtoBの場合、何らかの課題を抱えている見込み顧客が、その課題を解決出来る製品やサービスを探しおり、課題解決型商材(ペイン型商材)です。課題に対して「自社製品を導入してどのように改善出来たのか」を見込み顧客は知りたいでしょう。

そんな時に事例記事を見た見込み顧客は、同じような業態の企業がこの会社の製品を導入して、その製品が課題解決へ貢献していることを知れば、問い合わせやその後の商談に対して前向きに検討出来る要因になる可能性があります。更にインタビュー記事ですので「顧客の生の声」はエビデンスとしても訴求出来ます。

自社でインタビュー記事を制作することが難しい場合は、記事制作代行会社やコンテンツマーケティング支援会社へ依頼するのも一つの手です。費用は発生しますが、顧客企業へ取材依頼を行ったあとは、企画・構成から実際の取材まで代行してくれるので、内製でインタビュー記事を制作する場合と比較して業務負担は大幅に軽減されます。

また、導入事例セクションでは定期的に更新が想定されますので、後々の運用を考慮すると、投稿型ページで制作した方が良いでしょう。

製品カタログ請求

新規リードを獲得出来るセクションの一つが製品カタログ請求ページです。ユーザー心理として、製品カタログや資料請求は、見積もり依頼や通常問い合わせと比較するとハードルは低く感じますので、コンバージョン(問い合わせや資料請求等、Webサイト上の獲得成果)しやすい傾向にあります。

カタログ請求


問い合わせフォームのみだと、ハードルを高く感じてしまったユーザーは、そのまま離脱する可能性が高いですが、一つハードルを下げたコンバージョンポイントを設けることで、リードの取りこぼしを回避出来る可能性も生まれます。

特にBtoBではドキュメント文化が根付いていますので、多くのBtoB企業は資料請求系セクションを設けるべきではないでしょうか。見積もり依頼と比較すると、リードの質は落ちる可能性がありますが、セールスによるクロージングが必須のBtoBでは、リード獲得から関係構築後、セールスによる商談化を図ることが定石ですので、まずは獲得リードの絶対数を増やすことに注力した方が良いでしょう。

製品カタログ請求では、郵送希望の見込み顧客もいればWebサイト上でのダウンロード希望の見込み顧客もいますので、それぞれのセクションごとに設置した方がユーザー利便性・運用面の双方において好ましいでしょう。

郵送フォームであれば個人情報入力式の通常フォームで事足りますが、ダウンロードフォームの場合は、個人情報入力後にダウンロードページへ遷移する設計を採用する必要があります。また、ユーザーのアクションが郵送なのかダウンロードなのかを、データとして管理出来るようにバックエンド開発の要素も含まれます。

なお、見込み顧客は特定の製品カタログを探している可能性が高いため、取り扱い製品が多い場合は製品カタログ請求セクション内で製品名や型式指定検索機能を実装した方が、見込み顧客は目当ての製品カタログを探しやすいでしょう。

問い合わせ

製品カタログ請求と同様、新規リード獲得のセクションです。製品カタログ請求は「とりあえずカタログを見てみたい」といった、直ぐに商談化しないリードも多い傾向があるとお伝えしましたが、問い合わせフォームは内容によって、即商談化リードの可能性もあります。

例えば「見積もり依頼」や加工機械などを取り扱っている会社であれば「デモ機貸出依頼」などの問い合わせ内容だと、費用・納期などの条件面やデモ機を使用して良さそうであれば、直ぐにでも検討したい顕在層でしょう。また、過去に製品カタログ請求歴のあるユーザーかもしれません。

問い合わせ内容をドロップダウンで選択できる仕様にすると、ユーザーは問い合わせをしやすいです。過去に弊社で製造系企業のWebサイト改善及びマーケティング支援を担当した際に、以下の項目を選択できる問い合わせフォームにしました。

  • 見積もり依頼をしたい
  • デモ機貸出依頼をしたい
  • 過去に資料請求を行い、更に詳しく話を聞きたい
  • その他お問い合わせ

また、電話案内を希望する見込み顧客もいますので、問い合わせページにも電話番号・担当部署名・営業時間など、急ぎの見込み顧客にも電話で対応出来る旨を明記すると良いでしょう。

新着情報

新着情報ページは、プレスリリースとしての役割を果たします。主な掲載内容は、製品リリースのお知らせ・年末年始休暇/夏季休暇などのお知らせ・社内体制変更のお知らせ・業務提携のお知らせなどの、広報コンテンツとなります。投稿型のセクションです。

ブログ

新着情報ページは広報コンテンツとお伝えしましたが、ブログページは、より自社についての深い部分を記事化して発信するセクションです。発信するコンテンツは主に以下の内容が考えられます。

  • 製品のこと
  • 技術のこと
  • 企業文化
  • スタッフインタビュー
  • 自社の取り組み…など

上記の中に「技術のこと」とありますが、事業特性上、BtoB製造業にとっての保有技術は経営基盤そのものですので、開示出来る情報の明確な範囲は設けなければなりません。更に、BtoB製造業ではマーケティング部署が存在せず、営業がマーケティングも兼務していることが多いので、ブログページを活用したコンテンツマーケティングは実際のところハードルが高いでしょう。

しかし、ナーチャリング(見込み顧客の育成)や新規リード獲得を目的に、自社サイトを活用したコンテンツマーケティングはBtoBマーケティングの鉄板施策となりつつあります。情報発信を継続するメリットも多いので、様々な制約があるBtoB製造業でもコンテンツマーケティングに力を入れ始めた企業もあります。

中には専用のオウンドメディアを立ち上げてコンテンツマーケティングへ取り組む企業もありますが、コーポレートサイトへブログページを設置すれば、十分に運用可能です。全社や部署ごとに協議して取り組む時間を設けたり、開示可能情報範囲などを取りまとめたレギュレーションを作成するなど、工夫しながら取り組んでみてはいかがでしょうか。

なお、インタビュー記事は記事制作代行会社やコンテンツマーケティング支援会社へ依頼しても良いとお伝えしましたが、BtoB製造業のコンテンツは専門的内容ですので、本セクションの記事コンテンツは可能な限り内製が好ましいです。

また、これはコンテンツではありませんが、ブログや新着情報など、定期的に更新が想定される投稿型セクションが複数ありますので、運用利便性を図るために、WordPressなどのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を導入した方が良いでしょう。

会社情報

会社情報セクションは、どのWebサイトにも必ず掲載されていますのでイメージがしやすいかと思います。製造系企業は歴史がある企業も多いので、必要に応じて沿革も掲載した方が良いでしょう。

製造拠点が複数ある場合は、表や地図などで分かりやすく拠点を明記すると共に、対象企業はIR情報も掲載してください。会社情報セクションに掲載するコンテンツ案は下記の通りです。

  • 会社概要
  • 沿革
  • 拠点情報
  • IR情報
  • 代表挨拶
  • 役員紹介
  • 企業理念…など

上記の中から、自社サイトへ必要なコンテンツを抜粋して掲載してください。

最後に

コロナショックの影響でオフラインでのマーケティングが主流だった多くのBtoB製造業が、一斉にオンラインへの舵取りを始めています。しかしながら、自社サイトに多くの課題を残したまま広告やSEOなどの、新規流入施策を始めてしまうケースも少なくありません。

日本のBtoB製造業は、メーカーが直販するケースは少なく、その殆どが販売代理店経由で実際に製品を使用する企業の元へ届くのが一般的です。しかも、販売代理店の数も多いので、直販前提のマーケティング施策では通用しないことも多く、これらの実情を理解していないマーケティング支援会社が非常に多いです。

それであれば尚更、流入施策先行でWebに力を入れるのではなく、デジタルマーケティングの母体であるWebサイトを、オンライン上の自社拠点として整備することを先決すべきではないでしょうか。大袈裟なリニューアルをする必要はありませんが、サイト内のコンテンツを充実させて、いつでも見込み顧客の受け入れ態勢を整備することが何よりも優先すべきではないかと、私は考えます。

本記事が、BtoB製造業の経営者様・担当者様のご助力になれたら幸いです。


ルネイムのBtoB製造業向けデジタルマーケティング支援について

BtoB製造業のデジタルマーケティング支援経験が豊富なルネイムでは、これまでの経験を基に導き出した最適解を用いてWebサイト改善・マーケティング戦略立案/施策実行・マーケティングとセールス連携の体系化など、包括的にご支援させていただいております。

BtoB製造業ならではの実情や想定課題を熟知しているルネイムが、展示会中止の影響やオフライン施策で効率的に新規リード獲得・商談化が行えていないとお悩みのBtoB製造業の経営者様・担当者様のお力になれるかと思いますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表。BtoBマーケティング・コンテンツマーケティングが得意領域。
プロジェクトでは主にマーケティング戦略立案やリサーチ業務に従事。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。