株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

コンテンツマーケティングに関する質問と回答集【10000字超えで解説します】

ルネイム代表の湯田(@yuta_lunaim)です。弊社は様々な業界の企業様へデジタルマーケティングを総合的に支援しています。対応領域はWebサイト制作・改善〜施策の実行までと幅広いですが、最もご相談及びご支援させていただくことが多い内容がコンテンツマーケティングです。

多くの企業が取り組んでいるコンテンツマーケティングですが、インターネット上にはコンテンツマーケティングに関する様々な情報が飛び交っており、正解・不正解が曖昧であることが実情です。

そこで本記事では「コンテンツマーケティングに関する質問と回答集」と題して、弊社がお客様からよくお伺いする質問とその回答を、企業のWeb担当者・マーケティング担当者向けに、10000字以上にわたって掲載しています。

ボリュームのある記事ですので、目次から気になるトピックを抜粋してご覧ください。

目的・戦略

Q.1 発信するコンテンツの種類について教えてください。

まず前提として、コンテンツマーケティング=記事コンテンツ発信と捉えている方も多いですが、コンテンツマーケティングとは特定のコンテンツ及び発信手法のみを示すものではなく、自社で保有する若しくは新たに生み出したコンテンツを何らかの方法でお客様(顧客や潜在顧客など)へ届けるマーケティング活動全体を表した言葉です。


思いつくものを上記の通りまとめましたが、最も始めやすいコンテンツが自社サイトでの記事コンテンツ発信ですので、コンテンツマーケティングの代名詞として認識されたのでしょう。いずれにしても「コンテンツ」に当てはまるものは膨大ですので、自社と相性が良さそうなものや取り組めそうなものを選択して、正しく発信することがコンテンツマーケティングです。

Q.2 コンテンツマーケティングを始める際は、オウンドメディアを立ち上げた方が良いですか?

無理にオウンドメディアを立ち上げる必要はないと思っています。管理するWebサイトが増えるということは、運用実務に充てる時間もその分増えますので、社内リソースについても考慮しなければなりません。

企業規模や現状の自社サイトとの整合性を考慮して、既存のコーポレートサイトやサービス/製品(商品)サイトとは分けた方がコンテンツマーケティングを展開しやすいと判断した、もしくは下記の場合は新たにオウンドメディアを立ち上げても良いでしょう。

  • 単純にWebメディアとして展開したい場合
  • 商品、サービスブランドを確立させたい場合
  • 現状Webサイトとコンセプトが大きく乖離する場合
  • 会員登録機能を構築してクローズドコンテンツも発信したい場合
  • 社内でマーケティング専門部署があり、十分なリソース確保が可能な場合
  • 複数の事業を展開しており、その中の一つを対象にコンテンツマーケティングを行う場合


しかし、既存のコーポレートサイトやサービス/製品(商品)サイトでも十分運用可能であることが殆どです。実際に既存サイトでのコンテンツマーケティングで成果を出している企業も沢山ありますので、形式にこだわりすぎず「自社にとって何が最適か」を十分に考え、必要に応じてオウンドメディアの立ち上げを検討してください。

Q.3 SEOに注力すべきですか?

ある程度は注力すべきでしょう。コンテンツマーケティングを語る上で必ず出てくるワードがSEOです。SEO=コンテンツマーケティングではありませんが、コンテンツを見込み顧客や潜在顧客へ「届ける手段」としてSEOは用いられます。

検索概念が根付いた現代において、SEOへの取り組みは避けられません。SNSでの情報収集も盛んに行われているとはいえ、日本では検索エンジンを介しての情報収集がメインですので、検索エンジン上での優位性は売上にも大きく影響します。

コンテンツマーケティング=記事コンテンツ発信と定義した場合、SEO観点で注力すべきポイントは至ってシンプルです。魅力的なタイトル設定・キーワードを最適化(ユーザーの検索ニーズに適したキーワードを用いる)して、質の高いコンテンツを生成する以外に方法はありません。

むしろ、その前段階、つまりWebサイト要因の方が遥かに複雑で専門技術を要します。所謂、テクニカルSEOです。弊社の場合、Webサイト改善からプロジェクトをスタートすることが多いのですが、SEO部分だけでも全82項目に分けてチェックリストを作成しています。


テクニカルSEOでは、主に下記条件を満たしていることが求められます。

  • ユーザーが閲覧しやすいサイト構成になっている
  • ユーザーが閲覧しやすいレイアウトになっている
  • モバイル(スマホ)での表示最適化がなされている
  • サイト内コンテンツを正しく検索エンジンへ伝えることができる
  • 検索エンジンのクローラーがサイトを回遊しやすい設計になっている
  • サイトの表示速度が遅すぎない…など


検索エンジンの評価を高めるためには、前述以外だと質の高い外部リンクが求められます。相互リンクや自作自演リンクなどのブラックハットSEOが逆効果であることは、今となっては説明不要かと思いますが、サイト内のコンテンツが評価されて有名メディアやサイトからの被リンクを得ることが出来れば、自社サイトの評価は高まります。

しかし、外部リンクは企業側でコントロールできる領域ではないため、現実的に取り組めるSEO対策は、①Webサイトのパフォーマンスを向上②質の高いコンテンツ発信の継続、でしょう。

運用実務

Q.4 コンテンツネタの探し方について教えてください。

コンテンツネタ探しに困っているというご相談は一定数いただきますが、「社内はコンテンツネタの宝庫」であると、毎回同じ回答をしています。つまり、社内にはコンテンツネタがゴロゴロ転がっているのですが、コンテンツネタがなかなか思い浮かばない方は、下記を今一度見返してみてはいかがでしょうか。

  • 自社サービス/製品(商品)資料
  • 過去の提案書
  • 社内会議で使用したスライド
  • 問い合わせメール
  • 部署ごとの課題感
  • 商談時の顧客コメント
  • 既存顧客のコメント
  • 新しくインプットした知見
  • アンケート結果
  • 社内チャット…など


上記をご覧いただくと、日々の業務の中にコンテンツネタが山のように転がっていることが分かるかと思います。記事コンテンツ・ホワイトペーパーなどの形式を問わず、コンテンツテーマの根底にあるのは顧客が抱えていると思われる悩み・課題や顧客が望みそうな情報です。

それらは顧客との会話から得られる情報も多く、「マーケティングで成果を出したいなら顧客と会うべき」と言われているのもこれが理由の一つです。

弊社の場合、下記のようにコンテンツの元ネタをジャンルで分けてそれぞれを組み合わせることで、発信するコンテンツテーマを考案しています。


さらに言えば、お客様へのコンサルテーションで使用したスライド内の図解を作成する中でも、新たなコンテンツテーマが生まれるので、コンテンツ化出来ていないネタで溢れかえっているのが実情です。それはそれで反省点でもあるのですが、少なくとも「ネタ切れ」になることはありません。

再度お伝えしますが、コンテンツネタがなかなか思い浮かばない方は今一度、本セクション冒頭に掲載しているリストを見返してみてはいかがでしょうか。

Q.5 リライトは必要ですか?その場合はどの程度の周期で行いますか?

リライトは、必要であれば行うべきです。個人的にはリライトする・しないを決める二つの軸があり、一つは、情報鮮度が保てていないようであれば当然ながら、リライトしてアップデートしなければなりません。

例えば弊社ではデジタル広告に関するコンテンツも発信しているのですが、広告業界は新機能のリリースや仕様変更などが頻繁に起こるので、一度発信したコンテンツの風化速度も早いです。最新情報をキャッチアップしたら、既存のコンテンツへ反映させて、情報鮮度を保つようにしています。

このように、発信当時は最新情報だとしても、時間とともに情報は風化するものだと認識して、常に最新情報を掲載するためのアンテナを張り巡らせておかなければなりません。

もう一つは、コンテンツメイクスキルが向上したと実感したタイミングです。過去に制作したコンテンツは、当時は会心の出来栄えだったとしても、コンテンツ作りを継続していけば自ずとスキルが向上するので、記事コンテンツ一つを見ても過去のコンテンツを改めてチェックすると、ボロだらけだと感じることもあります。

継続することで、文章構成術やコンテンツ作りに対する熱量だけでなく、業務を通しての経験値も以前よりも増していますので、リライトによって発信当時よりも質を高められる可能性が高いです。これは記事コンテンツだけでなく、各種資料やメルマガなど、全てのコンテンツに当てはまります。

基本的には、この二軸でリライトの必要性を判断して取り組むと良いのではないでしょうか。

Q.6 効果的なコンテンツの届け方を教えてください。

コンテンツを作ることも重要ですが、完成したコンテンツを「誰に」「どのようにして」届けるのかも重要です。オンラインに絞ると①検索エンジン②SNS③広告、の3パターンが主要な届け方であることはご存知だと思います。

コンテンツの種類と届け方にも相性があるので一概には言えませんが、個人的には各コンテンツに適している届け方は下記のように考えています。


検索エンジンでの情報探索と相性が良いコンテンツは、Webサイトやサイト内の記事コンテンツです。ユーザーが明確な意思を持って「知りたい」「解決したい」と関連キーワードで検索した際に、自社のコンテンツが上位表示することで、ユーザーへ届けることが可能です。

一方、記事コンテンツはSNSとも相性が良いように思います。実際に私自身、Twitterでたまたま見つけた記事コンテンツを何度も読み返した経験があり、コンテンツ発信元の企業やメディアを知る前に記事コンテンツと出会った経験がある方も多いでしょう。

ウェビナーやカンファレンスなどのイベント型コンテンツは、拡散性のあるSNSや広告での告知が有効です。

検索エンジン・広告・SNS(SNSでもTwitter・Instagram・YouTubeと様々)と、今はチャネルがいくつも存在することを考慮すると、ユーザーへの届け方まで設計した上でコンテンツ制作に着手した方が良いでしょう。

Q.7 コンテンツは質と量どちらが重要ですか?

間違いなく質です。

例えば、記事コンテンツを用いたコンテンツマーケティングに取り組む場合、自社サイトのブログもしくは新たにオウンドメディアを立ち上げて発信することが考えられます。主な集客チャネルは検索エンジンでしょう。

上記と仮定した場合、SEOセクションでもお伝えしましたが、質の高いコンテンツが検索エンジンに評価されます。一時期のように、低品質のコンテンツを大量に発信して数的有利の状況を図ったとしても通用しません。

記事コンテンツを活用したコンテンツマーケティングの場合、その目的は流入数とコンバージョン数の増加だと思いますが、万が一検索結果で上位表示されたとしても、質が伴わない限りコンバージョンへ繋げることは困難です。

読み手(ユーザー)からすると、質の低いコンテンツが量産されているサイトよりも、数は前者に及ばなくても質の高いコンテンツを発信しているサイトの方が記憶に残ります。記憶に残れば、見込み顧客が新たに依頼先を探す際の第一想起の可能性も生まれるでしょう。後者はまさに、コンテンツマーケティングの勝ちパターンです。

ここまでの回答でコンテンツは質重視であることは明白ですが、一方で質の高いコンテンツを制作するための絶対的なノウハウは今のところ存在しません。記事コンテンツの場合、書き手の知識・文章構成力などのスキルによって質が大きく異なります。

質の高いコンテンツを制作できるようになるまでは、ある程度の量をこなして質を磨き続ける必要があります。属人的な領域だからこそ、「腕を磨く」という観点での量は求められるでしょう。結論は質重視であることに変わりはないですが、そこに至るまでには量も必要だと考えます。

※コンバージョン:問い合わせ・資料請求・予約など、Web上の成果目標

運用体制

Q.8 コンテンツ制作は内製・外部依頼のどちらが良いですか?

曖昧な回答となっていましますが、状況によりけりです。内製・外部依頼はそれぞれ一長一短ですので、自社が目指す姿や目的を軸に選択した方が良いでしょう。弊社で企業のコンテンツマーケティングやオウンドメディアのコンサルティングをさせていただく際、お客様側でコンテンツ制作を行う時もあれば弊社側で行う時もあります。

よく、「コンテンツ制作は内製の方が良い」という声を耳にしますが、社内事情を一切考慮しないのであればそうでしょう。しかし、企業には時間・人員・予算など、様々な制約がある上で事業を展開しなければなりません。

マーケティング専門部署があって潤沢な予算があり、リソースも豊富であれば、内製でも滞りなくコンテンツの更新が可能だと思いますが、ここまで条件が揃っている企業は限られています。殆どの企業が何らかの制約があり、その中で良いコンテンツを発信し続けることは決して簡単ではありません。

支援会社などへ外部依頼する最大のメリットは、運用サイクルやコンテンツ品質が担保されている点です。毎月決まった数の良いコンテンツが必ず発信出来ることは支援会社ならではの強みと言えます。外部依頼の場合はコストがかかりますが、コア業務に専念しながらでも取り組める利点は大きいです。

しかし、内製には内製ならではのメリットもあります。最初こそうまくいかないかもしれませんが、運用を継続する中で知見が溜まり、発信するコンテンツの質も磨かれていくでしょう。独自に磨き上げた知見は企業の大きな財産となりますので、コンテンツ文化の醸成を強く望む企業であれば内製の方が好ましいです。

このように「自社が何を目的としてどこを目指すのか」によって、コンテンツ制作のスタンスを決めるべきでしょう。

また、最初は外部依頼からスタートして、社内リソースが整ったりナレッジが溜まって来たタイミングで、徐々に内製へ切り替えていくのも一つの手です。

Q.9 取り組むための社内調整で良い方法はありますか?

コンテンツマーケティングは中長期施策であるがゆえに、ゼロから社内推進をして実行まで漕ぎ着けるには、かなりの労力が発生すると考えています。

経営層や事業責任者クラスがコンテンツマーケティングに対して前向きな方であれば、比較的社内調整を進めやすいですが、すぐには成果が出ない・そもそも成果が出ると断言できない中で、コンテンツマーケティングに対して懐疑的な社内上層部を説得することは非常に困難です。

それでもコンテンツマーケティングへの想いが強いのであれば「予算が発生しない範囲で始めてしまう」のも一つの手だと思っています。打ち手は限られてしまいますが、自社サイトのブログ更新やSEOを勉強して自社サイトへ反映させるなどが予算をかけない条件付きで始める際に現実的な取り組みでしょう。ブログを更新する旨程度は伝えて、あとは始めてしまうのです。

社内調整が困難である大きな要因は予算を割かなければならないからであり、その予算が発生しないのであればある程度は目を瞑ってくれる可能性もあります。

予め下地を作って、ブログ経由で一件でもコンバージョンが獲得出来れば「予算ゼロでコンバージョンを獲得した」事実が生まれます。それまでの経緯や具体的な取り組み内容をまとめると、社内プレゼン用レポートになりますので、何もない状態よりは説得しやすいはずです。

また、コンテンツマーケティングの目的を集客のみではなく、ナレッジ蓄積や組織形成も兼ねて取り組みたいと伝え、経営全体でプラスになるイメージを持たせることが出来れば、より説得しやすくなると思います。

成果・指標

Q.10 始めてからどの程度で成果へ繋がりますか?

明確な期間は企業やコンテンツによって異なりますが、コンテンツマーケティングは中長期施策です。例えば、Facebook広告でホワイトペーパーのダウンロードを促す方法であれば比較的短期間でまとまったリードを獲得することができるでしょうが、そのリードが商談化して受注するためには、見込み顧客と継続的にコミュニケーションを取らなければ「売上」という成果に結びつきません。

記事コンテンツの場合は、SEOの特性を鑑みるとリード獲得までも更に期間を要します。コンテンツマーケティングに取り組む際は、ある程度の先行投資覚悟が必要です。しかし、中長期で見ればコストパフォーマンスが良い点がコンテンツマーケティング最大のメリットでしょう。

弊社では、自社サイトでの記事コンテンツ発信・メルマガを主なコンテンツとしてマーケティングしていますが、記事コンテンツにフォーカスすると、実際に成果を実感するようになったのは運用から一年程経過したタイミングでした。

アクセス数自体は毎月のように伸びていましたが、コンバージョン数や受注ベースで振り返ると、一年程は成果が出ているとは言えない状況だったと思います。それでもコンテンツ発信を継続していくうちに「記事を読んで問い合わせました」「あの記事参考になりました」などのお声をいただくようになり、売上にも繋がっていきました。

この経験を踏まえると、コンテンツマーケティングが中長期施策である要因は「そもそもコンテンツは真っ直ぐにターゲットの元へ届かない」点である、と私は考えています。


上記のように、発信したコンテンツは紆余曲折を経て、ようやくターゲットの元へ届きます。だからこそ質の高いコンテンツを制作して、ターゲットの元へ届くまで継続的に発信する必要があります。更に言えば、①ターゲットの元にコンテンツが届く②ターゲットが届いたコンテンツを有益と感じる、の二段階認証を経て、その企業を認知します。そして認知からファン化させるために、更なるコンテンツを届け続けなければなりません。

このように、コンテンツマーケティングには終わりがありません。質を担保したままの継続発信こそが、企業がコンテンツマーケティングへ取り組んだ際に最も抱えている課題感です。これらを鑑みると、コンテンツマーケティングで成果を出すためにはコンテンツ作りが好きでいることが絶対条件でしょう。チームの中に一人でもコンテンツ作りが好きな社員がいれば継続発信の兆しが見えてきます。

一方で、積極的にコンテンツを作ろうとしない、つまりコンテンツ作りが好きな社員が一人もいない場合は現実問題として、コンテンツマーケティングを始めるためのスタートラインに立てていない状態です。その場合は役員自ら陣頭指揮をとって、コンテンツ作りに勤しみ、社内にコンテンツ文化を醸成していくしかありません。

しかし、コンテンツ文化が社内に根付くと売上面だけではなく、社員教育や採用活動などでも役に立ってくれるので、事業全体を見越しての総体的なコンテンツマーケティングが好ましいと、個人的には思っています。

Q.11 コンテンツマーケティングで最適な成果指標を教えてください。

所謂、KPI(重要業績評価指標)に関する質問ですが、KPIは段階的に変わるものだと思っています。例えば記事コンテンツからのコンバージョン獲得を図る際、まずはコンテンツをユーザーに届けて見てもらわなければなりません。そのためにSEO・広告・SNSなどの施策を実行するでしょう。

この場合の参考指標としてPV数・セッション数・ユーザー数が挙げられます。まずはPV数を伸ばし、その次にセッション数やユーザー数を安定させてコンバージョン数を伸ばしていく、という流れがコンテンツマーケティングの一般的な戦略です。

以前、「PV数をKPIとするのは正しくない」という声を耳にしたことがあります。恐らく、コンテンツマーケティングの目的は売上増加であることが多いので、PV数が増えてもコンバージョン数やその後の商談数が増えなければ売上には繋がらない、という考えからの意見でしょう。

しかし「PV数やセッション数/ユーザー数が直接的に売上には起因しないのでKPIとするべきではない」という意見は、対顧客のみの考え方であり、運用実務を担う社員から見るとあまりにも厳しすぎるような気がします。

ゼロから始めたコンテンツマーケティングによって、WebサイトのPV数を毎月伸ばすことが出来れば運用担当者が嬉しく思うことは至極当然です。少しずつレベルを上げ武器を鍛えて仲間を増やすロールプレイングゲーム型の方が、運用実務を担う社員のモチベーションを保てるでしょう。

いきなり最上段のハードルを課すのではなく、小さな成果でも前進していることが見えれば、更に伸ばそうとコミットしてくれるので中長期施策であるコンテンツマーケティングに適しています。勿論、最終的には売上へ繋げなければなりませんが、経営層や事業責任者ポジションの方は、これらを踏まえた上で適宜KPIを定めれば良いのではないでしょうか。

ただ、これだけでも①PV数②セッション数・ユーザー数③コンバージョン数、とKPIは三段階に分かれます。ここにホワイトペーパー・ウェビナー・メルマガ・SNSなどのコンテンツを加えるとなれば、更に複雑になります。この概念を念頭に置いた上で、戦略立案時にKPIツリーを作成しなければなりません。

理想は各手法ごとにKPIツリーを作成して、最後に統合したKPIツリーも作成した方が良いですが、ここではWebサイト(コーポレートサイトやオウンドメディア)を主軸にしたKPIツリーのモデルをご紹介します。


KGI(重要目標達成指標)を月間売上と定め、目標を達成するために必要な集客数を割り出していきます。上記はあくまでも例であり、月間商談数もKPIとして置く場合やメルマガやホワイトペーパーダウンロード経由の流入数を入れても良いでしょう。店舗型ビジネスであれば月間/一日平均来店数・新規客数/リピート客数などを入れることでKPIツリーが作成出来ます。

このようにKPIとして定める指標は多いので、最適な指標を決めることは難しいですが、どの指標も最終的には売上へ繋がるものであり、無駄な指標はありません。少々曖昧な回答ではありますが、自社のステージによってKPIを設定するなど、柔軟に取り組む必要があると思っています。

その他

Q.12 コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違いを教えてください。

コンテンツマーケティングは、企業が発信する様々なコンテンツを介してユーザーとコミュニケーションを創出し、段階的に集客・売上へ繋げていくマーケティング活動全体を意味していると、本記事冒頭でもお伝えしました。

一方、コンテンツSEOは質の高いコンテンツを継続的に発信して、検索順位を上げる施策であることを意味していますが、この説明だと違いが分かりづらいと思いますので、ここからは私なりの見解をお伝えします。

私自身はコンテンツSEOという言葉をあまり使用しませんが、あくまでもコンテンツマーケティングの中の施策の一つであり、コンテンツの範囲がコンテンツSEOとコンテンツマーケティングでは大きく異なります。


コンテンツSEOは記事コンテンツのみに対し、コンテンツマーケティングは記事コンテンツ・ホワイトペーパー・メルマガ・ウェビナー・SNS・広告…などいくつものコンテンツや届け方を指しており、その中にコンテンツSEOも含まれています。

コンテンツSEOという言葉が頻繁に使われるようになったのは、数年前までのSEO業界に深く関係していると考えています。

以前、私が執筆した下記のコンテンツでも触れていますが、数年前までのSEO業界は攻略思考が蔓延っており、Googleアルゴリズムの精度が低かったことを利用してブラックハットSEOなる、忌まわしき施策が暗躍していました。

関連記事:SEO-攻略思考からの脱却と今後の動向-

ブラックハットSEOがペナルティーの対象となると、今度は質が低いコンテンツを量産して、とにかく量があれば上位表示が可能な時代となり、その頃からコンテンツSEOなる言葉が使われ始めたように思います。

勿論、今はGoogleアルゴリズムの精度が高くなり、本記事でもお伝えしたように圧倒的に質が重要ですが、コンテンツSEOは他のSEO施策と区別するために生まれた用語ではないかと考えています。コンテンツマーケティングを展開する中で、質の高い記事コンテンツを発信して検索エンジン上での優位性を図るコンテンツSEOであれば、今後も有効です。

Q.13 コンテンツマーケティングが向いていない業界はありますか?

基本的に向いていない業界はありません。コンテンツマーケティングは、全フェーズの見込み顧客(課題形成前・情報収集・興味関心醸成・比較検討・意思決定)に対応できて、BtoB/BtoCともに効果的な万能型マーケティング手法です。

しかし、難易度の高い業界はあります。例えばBtoB製造業では、他業界と同様の感覚では取り組めないでしょう。

事例記事のような顧客インタビュー形式であれば問題はありませんが、BtoB製造業の経営根幹である技術の流出に繋がるようなコンテンツは発信できませんので、発信できる情報範囲を明確に定めた上でないと、コンテンツ作りには取り組めません。

組織形態の観点で見ても、大手企業であればマーケティング専門部署がありますが、BtoB製造業のほとんどの中小企業は、マーケティング専門部署がないのはもちろん、多くの社員は工場で製品を作っているので、勤務時間中にPCを見ることができる社員は限られています。そうなると運用リソース上の問題が出てきますので、コンテンツ発信を滞りなく行っていくための難易度は高くなります。

しかし、難しいからと言って向いていないわけではありません。確かにBtoB製造業は前述のような難しさはありますが、コンテンツマーケティング上の競合は少ないので、早い段階で取り組めばポジション取りは、そう難しくないでしょう。

一方、弊社のようなデジタルマーケティング業界だと、社内でコンテンツ作りや分析を行えますが、同業他社も積極的に取り組んでいますので、コンテンツマーケティング上の競合もたくさん存在します。それらの競合に勝ち抜いていかなければなりませんので、また異なる課題を抱えています。

このように業界によって難易度や抱える課題は異なりますが、コンテンマーケティングが向いていない業界はないという回答に変わりはありません。

最後に

コンテンツマーケティングは、コンテンツの種類・届け方が多岐にわたります。企業によって取り組み方も異なるが故に、抱えている課題は様々です。本記事では弊社がお客様からいただいた質問にフォーカスしてお伝えしましたが、これらはほんの一端であり、実際の現場では他にも様々な議論が行われていることでしょう。

コンテンツマーケティングの本質は「ユーザーの役に立てる情報をコンテンツ化して最適な形で届ける」ことであり、その取り組みに終わりはありません。

企業によって「記事コンテンツ+SEO」・「ウェビナー+SNS広告」など、何がベストであるかは当然ながら分かれます。大切なのは、自社にとって何が良いのかを考えてやり抜ける実行力ではないでしょうか。本記事がその一助となれば幸いです。


コンテンツマーケティングについてお気軽にご相談ください

戦略立案から運用に際するコンサルティングまで、自社のコンテンツマーケティングで得た豊富な知見を活かして包括的にご支援いたします。その難易度の高さが故に、成果が出る前に頓挫するケースも多いコンテンツマーケティングですが、成果までの最短距離・その成果を継続させることにこだわったコンサルティングメニューをご提案いたします。経営者様・担当者様のお力になれるかと思いますので、お気軽にご相談ください。

メールマガジン

デジタルマーケティングのお役立ち情報を配信します

この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表。BtoBマーケティング・コンテンツマーケティングが得意領域。
プロジェクトでは主にマーケティング戦略立案やリサーチ業務に従事。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。

Contact

お問い合わせ

サービスに関することや各種ご相談は
お気軽にお問い合わせください

問い合わせる