2020.03.27
2022.07.13
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株式会社ルネイム コンサルタント

佐藤 一

YMYL領域のSEOで成果につながる5つのポイントをご紹介

YMYL領域のSEOで成果につながる5つのポイントをご紹介メインビジュアル

本記事は、2022年7月13日に更新しました


YMYLとは、「Your Money or Your Life」の頭文字を取った言葉で、お金・健康・政治・法律など、人々の生活に大きな影響を与えるWebページを指し、Google検索品質評価ガイドライン内で104回(2022年7月時点)も使用されているほど、重要なトピックです。

検索品質評価ガイドラインのYMYL
検索品質評価ガイドラインにおけるYMYLの使用数


YMYL領域のWebページは、その他の領域と比較して特に厳しい品質の基準が設けられており、SEO難易度の高いジャンルとして認識されています。

一方で、YMYLについてしっかりと把握し、適切なSEOを実施すれば、検索順位の向上やトラフィック増加なども無理ではありません。

本記事では、YMYLの概要やガイドラインに追加された背景、さらにYMYL領域における5つのSEOポイントについてご紹介しています。YMYLに該当するジャンルを取り扱うサイトを運営しており、SEOを強化したいとお考えの方は、是非最後までご覧ください。

目次

  • YMYLとは

  • YMYLに該当するジャンル

  • YMYLがガイドラインに追加された背景

  • YMYLとE-A-Tの関連性

  • Expertise(専門性)

  • Authoritativeness(権威性)

  • Trustworthiness(信頼性)

  • YMYL領域における5つのSEOポイント

  • 1.専門家による執筆・監修

  • 2.YMYLコンテンツと非YMYLコンテンツを混同しない

  • 3.運営者情報・著者情報の明記

  • 4.情報の正しさをあらゆる視点で示す

  • 5.ユーザーが使用する言葉を用いる

  • さいごに

YMYLとは

YMYLとは、「Your Money or Your Life」の頭文字を取った言葉で、お金・健康・政治・法律など、人々の生活に大きな影響を与えるWebページを指しています。

Googleが実施する検索エンジンのコアアルゴリズムアップデートでも特に変動が大きいジャンルで知られており、言葉自体は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

Googleが公開している「検索品質評価ガイドライン」にもYMYLについて記載されており、次のように言及しています。

ウェブページやトピックの中には人々の将来の幸福、健康、経済的な安定、安全などに影響を与える可能性のあるものがあります。
我々(Google)はこのようなページを「Your Money or Your Life」ページ(YMYL)と呼んでいます。

引用元:検索品質評価ガイドライン(※英語文書)

YMYLに該当するサイトやページは、その他ジャンルのページよりも品質基準を厳しく設けており、SEOに関わる人の中では難易度が高いことで知られています。

YMYLに該当するジャンル

YMYLは大テーマ6、その他1の合計7ジャンルに分かれています。現時点でYMYLに該当するジャンルは次の通りです。

ジャンル
ニュース・時事問題国際問題や政治など重要な問題を扱うサイトなど(時事といっても、エンタメ系のトピックなどはYMYLに該当しない)
政府・公共サービス・法律など選挙・政策・社会福祉・法律に関する情報を取り扱うサイトなど
金融証券・投資・税金・クレジットカード・不動産の購入・各種ローン等、お金に関するアドバイスや情報を取り扱うサイトなど
ショッピング商品・サービス・店舗・決済・返品など、特にインターネットで販売や購入・決済ができるサイトなど
健康と安全健康・病気・怪我・薬・メンタルヘルス・栄養・緊急時の備えなどの健康と安全に関するアドバイスや情報を取り扱うサイトなど
人々のグループ人種・民族・宗教・国籍・性別に関する情報を取り扱うサイトなど
その他フィットネス・栄養・住宅情報・大学の選択・就職等、人生の中で大きな決断や人々の生活の重要な局面に関する情報を取り扱うサイトなど


本記事執筆時点(2022年7月)では7ジャンルですが、常にアップデートされ、ユーザーに影響を与えるあらゆる分野の情報がYMYLに該当するようになることが予想されます。

YMYLがガイドラインに追加された背景

Googleは、「Google が掲げる 10 の事実」でこのように明言しています。

Google は、当初からユーザーの利便性を第一に考えています。新しいウェブブラウザを開発するときも、トップページの外観に手を加えるときも、Google 内部の目標や収益ではなく、ユーザーを最も重視してきました。


まだYMYLという概念がなかった頃、インターネット上には信頼性の低いコンテンツやサイトが無数に存在しており、当時の検索アルゴリズムはコンテンツ評価の精度が低く、次のようなページでも上位表示されていました。

  • 内容は不十分だが文字数が多い
  • 他サイトのコピーコンテンツ
  • 対策キーワードが不自然に盛り込まれている
  • 間違った情報が掲載されている…など


今では考えられませんが、このようなページでも上位表示されていたのは事実で、検索エンジンの穴をついた施策が横行していました。中でも「ウェルク」という医療系のキュレーションサイト(現在は閉鎖)が有名で、社会問題になったほどです。

医学的根拠のない情報や医療の専門家ではないライターが執筆した記事、専門家の監修がおこなわれていない記事などが無数に存在し、中には人命に関わるトピックにおいても事実と異なる情報が掲載されていたりと、大きな問題でしたが、そのようなページが上位表示されている検索エンジンの仕組み自体にも非難が集まりました。

間違った情報や信憑性の低いページが乱立することは、前述のGoogleが考えるユーザーの利便性に反するだけでなく、ユーザーの生活を大きく損ねてしまう可能性があることから、GoogleはYMYLの概念を掲げ、検索品質評価ガイドラインに加えたのがYMYLの生まれた背景です。(2018年頃)

しかし、特別な基準がYMYL領域に設けられたとはいえ、その他の領域においても「ユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供する」という基本的な考え方に変わりはありません。

YMYLとE-A-Tの関連性

YMYLについて調べると必ずセットで解説されているのがE-A-Tです。E-A-Tとは次の3つの頭文字をとった検索順位を決める評価ポイントの一つです。

  • Expertise(専門性)
  • Authoritativeness(権威性)
  • Trustworthiness(信頼性)
検索品質評価ガイドラインとE-A-T


E-A-TはYMYLだけでなく、SEO全体においても重要な評価基準のため、前述の検索品質評価ガイドライン内で129箇所(2022年7月時点)も使用されています。

E-A-Tは検索品質評価ガイドラインで定められてはいるものの、その定義が詳細に明記されているわけではありませんので、Googleが何を指してE-A-Tという言葉を使用しているのかを理解するためには検索品質評価ガイドラインを熟読する必要があります。

Expertise(専門性)

専門性とは、サイトが「あるジャンルに特化している」ことを意味します。様々なジャンルを扱うのではなく、特定の分野に特化したサイトの方が「専門性のあるサイト」として認識してもらいやすくなります。

コンテンツ内容においても、その分野に精通している有資格者や経験を有する人によるコンテンツの方が高く評価されます。

E-A-Tの中でも専門性は特に重要とされており、基本的には専門性がなければ権威性や信頼性に繋がらないとGoogleは考えているようです。

Authoritativeness(権威性)

権威性とは、「誰が発言しているのか」を重視しています。医師による医療アドバイスや、税理士による税務アドバイスなどが該当します。コンテンツ制作の際は、発言者の経験や肩書、資格などが分かるように意識しましょう。

例えば、ユーザーが健康に関する情報を知りたいのであれば、その専門家である医師が執筆や監修しているコンテンツが信用できるうえに、医学的根拠に基づいた情報を必要としています。

また、権威性は専門性の高い別サイトからのリンク・受賞・推薦などの形で「他者からの評価を獲得しているか」という観点も含まれています。

Trustworthiness(信頼性)

信頼性とは、情報やサイト・運営者がユーザーにとって信頼できるものであることを指します。

ユーザーにとって、信頼できる情報であることがYMYLでは大前提となるため、個人で発信している情報よりも専門機関や企業が発信している情報の方が、信頼性が高いとされています。

絶対ではありませんが、YMYL領域のサイトでは特に行政・教育機関、医療機関、企業などの専門機関が運営するサイトがキュレーションサイトやアフィリエイトサイトより優遇される傾向になりました。

YMYL領域における5つのSEOポイント

YMYL領域におけるSEOのポイントを5つまとめました。

  1. 専門家による執筆・監修
  2. YMYLコンテンツと非YMYLコンテンツを混同しない
  3. 運営者情報・著者情報の明記
  4. 情報の正しさをあらゆる視点で示す
  5. ユーザーが使用する言葉を用いる


これら5点についてご紹介しますが、勘違いしないようにすべき点もあります。YMYLは、Googleが特にコンテンツの品質基準を厳しく設けていますが、その他の領域であってもユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供することがSEOの本質であることに変わりはありません。

これからご紹介する5つのポイントの中には、どんなジャンルのサイトでも共通して取り組むべき内容も含まれていますので、是非参考にしていただけたらと思います。

1.専門家による執筆・監修

一つめのポイントは、対象トピックの専門家による執筆または監修したコンテンツであることです。医療系の記事であれば医師などの医療従事者、法律系の記事であれば弁護士など、その道に精通する専門家が執筆・監修することで、専門性を高めることができます。

ただし、形だけの監修記事に大きな効果はありません。監修者の掲載自体は誰でもできてしまうため、その専門家に関わるサイトからの被リンク獲得や、SNSでの言及などのサイテーションがあれば、SEO効果に繋がりやすいです。

なお、自社リソースの中で専門家のアサインが難しければ、専門家による記事制作サービスや監修サービスの利用をおすすめします。

2.YMYLコンテンツと非YMYLコンテンツを混同しない

2021年4月に、GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏がオフィスアワーにて、次のように発言しました。

YMYL コンテンツと 非 YMYL コンテンツを同じサイトで公開しないほうがいい。混ざっていると、Google の扱いが難しくなる。

YMYLと非YMYLのコンテンツを同じサイトに掲載すると、Googleは「サイト全体がどのような情報を扱っているのか判断が難しい」とのことです。

結果的に、YMYL領域のサイトなのに関係が薄いとみなされたり、逆に、現時点では非YMYLサイトなのにYMYL領域のサイトとみなされてしまうかもしれません。また、検索順位にも大きく影響してきます。

これらを防ぐには、YMYLと非YMYLのコンテンツを同じサイトに掲載したりサブディレクトリで分けるのではなく、完全にサイトを分けて掲載した方が確実な方法と言えるでしょう。

SEO業界で有名なFaber Company社の鈴木謙一氏が運営する「海外SEO情報ブログ」でも、このことについて詳しく解説していますので是非、あわせてご覧ください。

3.運営者情報・著者情報の明記

人々の生活に大きな影響を与えるYMYL領域のコンテンツでは、「誰が」「どんな人が」発信しているかが特に重要です。そのため、サイトの運営者情報や記事を執筆した著者の情報は必ず掲載しましょう。

ここではサイトの運営者を企業と想定しますが、会社名・所在地・電話番号・設立年月・事業内容などの会社概要に加え、ECサイトであれば特定商取引法に基づく表記や利用規約、その他に定めている各ポリシーまで細かく掲載してください。

著者情報に関しては、著者の氏名・経歴・SNSアカウント(あれば)などを掲載し、情報発信者としての人となりが分かるようにしてください。また、専門家の監修記事であれば監修者情報もあわせて掲載しましょう。

4.情報の正しさをあらゆる視点で示す

正しい情報の発信は、YMYL領域に限らず、あらゆるWebサイトの運営者が果たすべき責務です。しかし、YMYL領域では特にその責務が重大であることを認識しなければなりません。なぜなら、YMYLは「人々の人生や生活に大きな影響を与える」トピックだからです。

情報発信者が一方的に「正しい情報ですよ」というのではなく、正しい情報であることのエビデンスを提示して、ユーザーからの信頼を獲得しましょう。具体的には、次の取り組みが有効です。

  1. 一次情報の提供
  2. 専門家への取材
  3. メリットばかり書かず、デメリットがある際は正直に書く
  4. 公開コンテンツの情報収集プロセスを提示


1〜3については説明不要かと思いますが、4について参考サイトと共に紹介いたします。

こちらのサイトは株式会社マイベストが運営する「mybest」という、世の中の様々な商品やサービスを比較・検証して記事化しているメディアで、比較・検証サイトは他にも沢山ありますが、4の「公開コンテンツの情報収集プロセスを提示」において抜きんでたサイトの一つです。

参考に、次の記事をご覧ください。

この記事だけでなく「検証のポイント」を記事内で解説しており、非常に透明度の高い比較コンテンツへと昇華させています。

検証のポイント


また、株式会社マイベストのコーポレートサイト内で「コンテンツ制作ポリシー」と題し、mybest内で公開するコンテンツの制作体制やフローに加え、商品やサービスの評価方法まで細かく明記しています。

コンテンツ制作ポリシーを見ると、全てのコンテンツに対して時間と労力をかけ制作していることが分かるかと思います。このように、発信する情報についてあらゆる視点で正しい情報であることを示すことが、YMYLでは特に求められることを理解しましょう。

さらにYMYLでは、発信した情報の鮮度も重要です。YMYLに属する、医療・金融・法律に関する情報は頻繁に更新されるため、発信した情報が古くなり、誤った情報となっていないかを定期的にチェックしましょう。

5.ユーザーが使用する言葉を用いる

いくら正確で信頼できる情報を掲載しているコンテンツであったとしても、専門用語を並び立てていては、ユーザーの理解が深まりにくいため、専門用語の使用は極力避けましょう。

ユーザーは専門用語ではなく、平易なワードで情報を探す場合がほとんどのため、ユーザーが実際に検索するであろう、専門用語を除いた検索クエリに基づき、タイトルやコンテンツ内容を構成してください。

このことについて、Googleウェブマスター向け公式ブログでも次のように言及しています。

現在、毎日数百万件以上の医療や健康に関する日本語のクエリが Google で検索されています。これを分析してみると、医療の専門用語よりも、一般人が日常会話で使うような平易な言葉で情報を探している場合が大半です。日本のウェブには信頼できる医療・健康に関するコンテンツが多数存在していますが、一般ユーザー向けの情報は比較的限られています。

引用元:Googleウェブマスター公式ブログ

もし、あなたが医療関係者で、一般のユーザーに向けたウェブでの情報発信に携わる機会がありましたら、コンテンツを作る際に、ぜひ、このような一般ユーザーの検索クエリや訪問も考慮に入れてください。ページ内に専門用語が多用されていたら、一般ユーザーが検索でページを見つけることは難しくなるでしょう。内容も分かりづらいかもしれません。

引用元:Googleウェブマスター公式ブログ

ここでは医療系のトピックについて言及していますが、他ジャンルにおいても同様だと思って良いでしょう。

さいごに

本記事では、YMYLの概要やガイドラインに追加された背景、SEOのポイントについてご紹介しました。繰り返しとなってしまいますが、YMYL領域もその他領域であっても、コンテンツ品質を追求することがSEOの本質です。

ただし、YMYL領域ではGoogleが特にコンテンツ品質を厳しく設けており、検索順位に大きく影響する要素であることを理解しましょう。そのため、コアアルゴリズムアップデートの影響を受けやすいジャンルとなっています。

もし、YMYLに該当するジャンルを取り扱うサイトを運営しており、SEOを強化したいとお考えの方は是非、本記事でご紹介したSEOのポイントを参考に取り組んでみてください。


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この記事を書いた人

株式会社ルネイム コンサルタント

佐藤 一

秋田県出身。株式会社エルテスのSEOグループマネージャー、ラクスライトクラウドのデジタルマーケティング担当など、10年以上のデジタルマーケティングに関する業務を経験。2021年にルネイムへ参画し、主にコンテンツマーケティング領域のプロジェクトに従事。