2020.06.09
2020.08.07
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株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

WEBサイトリニューアルの事前準備に際する4つの注意点

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こんにちは。ルネイムの湯田@yuta_lunaimです。

2020年3月以降、つまりコロナショックを機に弊社でもWEBサイトのリニューアルに関するご相談を数多くいただいております。オンラインでのマーケティング活動を本格的に取り組んでいく方針を定めた企業も多く、まずは自社サイト改善のニーズが高まった為だと思われます。

しかし、WEBサイトリニューアルに関する失敗経験を持つ企業は少なくないことも事実で、実際に失敗談を語るお客様も多数いらっしゃいました。失敗の内容は様々ですが、中には担当した制作会社だけでなく、発注企業側にも改善点があるのではないか?と思う事例がいくつも存在したのです。

特に、制作会社が制作開始する前の、事前準備段階の問題が大きく影響している場合が多く、他にも同じような経験を持つ企業や制作会社が存在するのではないかと考え、今回は「WEBサイトリニューアルの事前準備の注意点」についてお伝えします。

本記事は発注企業だけでなく、制作会社の方にも是非ご覧いただければ幸いです。

目次

  • 社内で共通認識を持つ

  • サイトリニューアルプロジェクトの流れ

  • 目的に沿った制作会社へ依頼する

  • プロジェクトの透明性

  • まとめ

  • デジタルマーケティングの戦略立案はお気軽にご相談ください

社内で共通認識を持つ

まず前提として、社内での共通認識を持たなければならないという点からお伝えします。

サイトリニューアルに関してよく耳にする失敗例が、リニューアル自体が目的になってしまっているというケースです。競合他社がデジタルマーケティングに力を入れており、自社でも取り組もうと意気込んでリニューアルへ踏み切る企業は少なくありませんが、リニューアル後の運用を視野に入れておらず、サイトが変わればアクセスが増えると思われている方も一定数いることでしょう。

しかし、WEBサイトはデジタルマーケティングの母体であり、アクセス数や問い合わせ件数が増加する為には様々なマーケティング施策を用いる必要があります。私は日頃からお客様に対してWEBサイトの重要性をお伝えしていますが、あくまでも「受け皿として最初に取り組むべき」という伝え方をしています。

サイトリニューアルは「目的」ではなく、マーケティング活動を行う為の「手段」です。リニューアルしてからがスタートであり、ゴールではありません。社内でこの共通認識を持てていないのであれば、本格的なリニューアルに踏み切るべきではないと、私は考えます。その場合はマインドの醸成から行う必要があり、機が熟したタイミングで改めて実行した方が良いでしょう。

勿論、社内でのマインド醸成は決して簡単なことではありません。部署間での交渉や新しい取り組みに対する反発も起こり得るかもしれません。しかし、デジタルマーケティングの重要性は数年前とは比較できないほど高まっており、いずれは取り組まなくてはならない時が来るでしょう。

まずは、WEBサイトやデジタルマーケティングにおける競合の事例をまとめて、経営層や他部署のキーマン的存在の人とコミュニケーションを取りながらプレゼンしてみてはいかがでしょうか。いきなりは難しいかもしれませんが、小さいことからコツコツ積み上げることも成果への一歩だと思います。

サイトリニューアルプロジェクトの流れ

これまで自社サイトのリニューアルプロジェクトに携わった方であれば、社内調整から制作会社へ依頼するまでの流れは把握されているかと思いますが、その流れを正しく理解している方は私の経験上、多くないように思います。

検索エンジンで情報をインプットする際に、制作会社の選定方法や自社で準備するものなどの、部分的な流れについて解説しているコンテンツは沢山存在しますが、私自身、制作会社へ依頼するまでの流れを一から十まで細かく解説しているコンテンツは見たことがありません。そこで、これらを踏まえてプロジェクト立案から制作会社選定までの流れについて解説したいと思います。

基本的なプロジェクト立案から制作会社選定までの流れは下記の通りです。


①プロジェクト立案
②企画MTG
③稟議
④プロジェクト発足
⑤プロジェクトチーム決定
⑥プロジェクト詳細策定
⑦プロトタイプ考案
⑧RFP作成
⑨制作会社選定
⑩キックオフ


①・②はリニューアルプロジェクトのアウトラインを明確にするタスクとなります。自社サイトが抱えている課題の洗い出しやリニューアルの目的を定め、社内調整で必要となる資料へまとめていきます。正式に決まったわけではない段階とはいえ、このタスクが③の稟議を通るか否かが決まる要因ですので、可能な限り深掘りしておく必要があります。特に、デジタルマーケティングに注力していきたいと考えている企業であれば、この段階でリニューアル後の施策案まで考えておいた方が良いでしょう。

③・④は説明不要かと思いますので、次は⑥について解説します。

リニューアルプロジェクトが正式に発足したら、まずは前述の①・②を更に具体化していく必要があります。最低限、以下の事項を明確に策定しておくと、プロジェクトを比較的スムーズに遂行出来るのではないかと思っています。

  • リニューアルの目的(サイトで何をしたいのか)
  • 競合サイト
  • 自社の業界で参考にしているサイトをリスト化(理由も併せて)
  • コンテンツ構成案
  • リニューアル後のマーケティング施策案
  • 希望リリース日
  • 大まかな予算


次に⑦・⑧について解説します。

プロトタイプは、⑥で考案したサイトの構成案を実際に図面にした、簡易的なペーパー型の設計図をイメージしてください。コンテンツの配置例やトップページと下層ページの導線イメージなどの簡易的なもので構いません。具体的な構成については制作会社がワイヤーフレームやサイトマップを作成すると思いますが、事前にプロトタイプを作成してRFPに添付することで、どのようなサイトを求めているのか、制作会社に伝わりやすくなります。

WEBサイトのペーパープロトタイプ

画像引用元:Adobe Xdでのワイヤーフレーム

ここまでで考案した事項をRFP(提案依頼書)へまとめて提出すると、制作会社も意図を汲み取り易く、的外れな提案を未然に防ぐことが出来ます。RFPの作成方法については下記の記事で詳しく解説しています。

参考記事:WEBサイトリニューアルを成功させるRFP(提案依頼書)作成方法

ここまでが制作会社選定までの大まかな流れですが、稀に稟議通過後、直ぐに制作会社への問い合わせを行い、その後は全て丸投げというケースを耳にします。しかし、この場合は自社で求めているサイトでなくなる可能性が非常に高く、その後の進捗にも大きく影響しますので必ず上記の流れで進めるようにしてください。

目的に沿った制作会社へ依頼する

企業がWEB制作会社に求めるものは、大きく以下の2つに分けられるのではないでしょうか。


①予算・納期重視型
WEBサイトに割ける予算があまりなく(200万円以下と想定)、出来る限り短納期が可能な制作会社

②戦略重視型
集客チャネルとして機能させる為のマーケティング戦略から立てる制作会社(高予算・長納期)


①の場合、安く・早くが重要視され、スタートアップ企業に多く見られます。スタートアップ企業の場合は予算が限られている上に、営業活動も含めてスピード感が求められますので、このような場合には①の制作会社が向いていると思います。

②の場合、企業規模を問わず、リニューアルを実行してデジタルマーケティングに注力していきたいと考えている企業である場合が多いと思います。依頼通りに制作するだけではなく、マーケティング戦略から考案して、集客チャネルとして活用出来る設計の基でアウトプットをする必要があるので、制作費用は高く、制作期間も長期となる傾向があります。

ここまでは良いのですが、①の制作会社を②の感覚で捉えてしまっている企業が少なからず存在し、最初の選定部分から目的に沿っていない場合があります。この場合、発注企業が求める要件と制作会社の対応領域が大きく解離しており、中には進行途中で頓挫してしまった事例もあると耳にしたことがあります。

発注企業の要件と制作会社の対応領域の解離


この問題の要因として考えられることは、発注企業が過度な要求を①に行ってしまったこと、制作会社が安請負をしてしまったこと、ではないでしょうか。弊社はWEBサイト制作の案件も多くいただいているので制作会社側の目線でお伝えすると、出来ること・出来ないことを明確に発注企業へ伝え、必要に応じて相応の金額をご提示することこそが問題解決の方法ではないかと考えます。

基本ベースはありつつも、お客様の顔色を伺いながらの価格設定に踏み切ってしまうと「安いに越したことはない」という概念が無理な要求に応えてしまう要因となり得るでしょう。

私は仕事柄、WEB制作会社の知人が多いのですが「安い制作会社=良くない」と思ったことは一度もありません。発注企業が求める要件を満たした上で、安価・短納期が実現出来るのであれば、①の制作会社を選ぶべきですし、発注企業・制作会社双方の要件が合致するプロジェクトだと思います。

しかし、現実として、事業課題を解決する為の提案やマーケティング戦略を策定出来る制作会社は限られています。弊社はデジタルマーケティングの総合支援をしている会社なので、戦略立案から入ることが殆どですが、早くても1ヶ月、長くて3ヶ月ほど戦略を策定する為の時間を要します。この場合、純粋にデザイン費・構築費のみではお受けすることは難しく、一定の費用・制作期間がかかる旨をお客様へ説明をしてご理解をいただいています。

発注企業側は、日頃からWEBサイト制作の相場や制作会社について情報を溜めておき、準備をしておく必要があります。制作会社の良し悪しは安い・高いで測れるものではなく、企業が求める要件に適した制作会社が、その企業にとって良い制作会社となるのではないでしょうか。

プロジェクトの透明性

「意図したサイトが作れなかった」という経験をしたことがある方も少なからずいらっしゃるかと思います。その要因は、単に「選定した制作会社が良くなかった」という単純な問題ではない可能性も十分に考えられます。

そこで考えられるのが「プロジェクトの透明性」です。自社で綿密なサイトリニューアルプロジェクトの戦略を立てたとしても、その内容が正しく制作会社へ伝わらなければ、結果として机上の空論化されてしまいます。勿論、担当する制作会社の営業若しくはディレクターがお客様の意図を明確に把握するヒアリング力の問題もありますが、同時に発注企業の歩み寄りが無い場合があることも否定出来ません。

良いアウトプットを実行する為には、相応のインプットが必要です。「良いサイト作りたい」という目的は、発注企業と制作会社が共通して持つミッションです。そのミッションを達成する為には制作会社だけでは難しく、発注企業の情報共有が必要不可欠です。加えて、ここで言う情報とは情緒的情報ではなく、論理的情報が求められます。

制作会社は「お客様が満足するものを作りたい」と当然思っているので、可能な限り情報共有を試みます。その際に、自社で立てた戦略やリニューアルの目的・方向性などを資料などで具体的に可視化した上で打ち合わせ時に情報共有を行うなど、発注企業の協力があれば一層その後の進捗や制作するサイトに反映しやすいでしょう。

まとめ

良いWEBサイトを制作する為には、制作会社の力量だけでは難しく、発注企業の保有認識や協力も必要であることを本記事では主に伝えさせていただきました。制作会社との相性は大切であり、場合によっては今後のWEB制作案件を全て任せられる制作会社と出会う可能性もありますし、発注企業・制作会社双方の視点でも、そのようなパートナーは大変貴重な存在です。

事前準備段階は大切なプロセスであり、良いサイトを制作したいという共通目的を達成する為にも、本記事でご紹介させていただいた注意点を踏まえた上で、リニューアルプロジェクトを進めていただければと思います。ご覧いただいた企業関係者の方々が、実際にその場面に直面した時、お伝えした内容を思い出していただけると幸いです。


デジタルマーケティングの戦略立案はお気軽にご相談ください

ルネイムは、WEB制作からデジタルマーケティング施策の実行まで一貫してご支援しています。戦略フェーズを重視しており、お客様の事業課題に最適なデジタルマーケティング戦略を、業界経験10年以上のメンバーがご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表。BtoBマーケティング・コンテンツマーケティングが得意領域。
プロジェクトでは主にマーケティング戦略立案やリサーチ業務に従事。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。