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株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

BtoBビジネスにおいてSEOは有効か?4つの成功ポイントもご紹介

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検索エンジンマーケティングの代表施策であるSEOは、多くの企業が取り組む施策の一つです。

発注先候補を探す場合、検索エンジンで情報を収集する担当者は多いため、検索結果の上位に自社ページが表示されれば、多くの見込み顧客へ自社のサービスや製品を認知してもらえる可能性が高まるでしょう。

そして、近年はSEOに注力するBtoB企業が増えている一方で、展示会やテレアポなどのオフライン施策が中心だった企業の中には、「SEOでリードを増やせる?」「自社に必要?」と疑問に思う方が存在するのは事実です。

結論、BtoBビジネスでもSEOは有効で、実行する価値は高いと言えるでしょう。本記事では、その理由に加えて、BtoB企業がSEOに取り組む際のポイントも紹介しています。BtoB企業でマーケティングを担当されている方の参考となれば幸いです。

目次

  • BtoBビジネスにおけるWebサイトの重要性

  • SEOはBtoBの購買プロセスと相性が良い

  • BtoBにおけるSEOの特性

  • BtoB企業がSEOで成果をあげる4つのポイント

  • 自社サイト内でのコンテンツ発信

  • コンバージョンに近いキーワードを優先的に対策する

  • 正しいコンバージョンポイントの設置

  • 固定ページのチューニングや記事のリライト

  • さいごに

BtoBビジネスにおけるWebサイトの重要性

まずは下記グラフをご覧ください。

BtoBサイト調査 2021


参考:トライベック・ブランド戦略研究所 – BtoBサイト調査 2021

トライベック・ブランド戦略研究所が毎年公開している「BtoBサイト調査」の2021年版です。見込み顧客と最初のタッチポイントとなる情報収集において、66.7%もの人が「企業のWebサイト」と回答しています。

新型コロナウイルス感染症の影響により、展示会の中止が相次ぎ、顧客側もオンラインでの情報収集に傾倒した背景もあり、Webサイトはマーケティング・営業活動のツールとして欠かせないことを物語っています。

また、3番目に回答者が多かった「カタログ・パンフレット」もデジタルコンテンツ化が進み、Webサイトからのダウンロードが一般的になりました。

Webサイトの訪問者を増やすことは商談機会創出のために重要で、自社や自社のサービス/製品を知らない見込み顧客の訪問数を増やす際に、SEOは有効な手段となります。その理由は、一般検索でのユーザー訪問数を増やすことがSEOの主な目的となるからです。

検索には指名検索と一般検索があり、指名検索とは企業名やブランド名・サービス/製品名などの固有名詞を検索することで、指名検索で訪問したユーザーは、既に自社や自社のサービス/製品について認知している状態となります。

指名検索と一般検索


この場合、後述する一般検索や検索エンジン以外のチャネルで自社のことを知り、興味をもって訪問するユーザーが多いため、コンバージョンにも繋がりやすい検索行動と言えるでしょう。指名検索数が多いということは、それだけブランド認知が進んでいることを表しています。

一方、「マーケティング」「SEO」のように企業やブランド名ではない一般名詞での検索行動を一般検索といいます。一般検索は、「〇〇 おすすめ」や「〇〇 費用」のような掛け合わせも含まれており、まだ自社のことを知らないユーザーがとる検索行動のため、見込み顧客に対するタッチポイント創出の手段としてSEOは非常に有効なのです。

SEOはBtoBの購買プロセスと相性が良い

ここまでは、BtoBビジネスにおいて、Webサイトがマーケティング・営業活動ツールとして非常に重要なものであることをお伝えしましたが、本記事のテーマ「SEO」はBtoBの購買プロセスと相性が良い施策であることについても解説させていただきます。

購買プロセスとは、顧客が購入を決定するまでのプロセスです。購買プロセスには「AIDMA」や「AISAS」など、複数のモデルが存在しますが、BtoBの購買プロセスはこのような流れで進むことが多いです。

BtoBビジネスのセールスファネル


課題化した後に顧客が最初に行うのは情報収集です。課題解決のヒントや手段について、検索・SNS・社内メンバーからの情報共有などの方法で情報を収集し、検討フェーズへと進みます。

以前は展示会・テレアポ・FAX DM・業界誌への広告出稿などがキッカケで顧客担当者とつながり、商談を進めるのが一般的でしたが、顧客自身で能動的に情報収集できるようになったことで、BtoBマーケティングの取り組み方も大きく変わりました。

このことを決定づける有名な調査調査があります。

アメリカのコーポレート・エグゼクティブ・ボード社が発表したThe Digital Evolution In B2B Marketingの中で、「BtoBでは顧客の購買プロセスの57%が、営業担当者に会う前にすでに終わっている」と言及しています。

この調査結果については、BtoBマーケティングに関する様々な記事で紹介されているため詳細は割愛しますが、顧客自身がオンラインで情報を収集している段階で選ばれなければ、営業担当者が顧客と接触できる機会が訪れないことを意味しています。

もし、今現在、何らかの業務課題を抱えており、解決方法に関する情報収集を始める際、多くの方は検索エンジンで調べると思います。BtoC商材であればSNSや比較サイトなどの口コミがキッカケとなることも多いですが、BtoBでは就業時間中の検索エンジンリサーチが圧倒的に多いです。

このような背景で「検索エンジン最適化」を意味するSEOは、BtoBビジネスの情報収集手段や購買プロセス全体との相性が良いため、SEOは有効で実行する価値があると冒頭でお伝えしたのです。

BtoBにおけるSEOの特性

SEOについて調べた経験がある方はご存知のとおり、SEOという大カテゴリの中にいくつもの施策が存在します。初めてSEOに取り組む方はそれらを理解するところから始まりますが、BtoBのSEOならではの特性についても理解しなければなりません。

SEOの基本は「検索クエリ」と呼ばれる、ユーザーが検索するキーワードの選定です。BtoBのSEOはBtoCと比較して、キーワードの月間検索数が少ない傾向にあります。

BtoCは顧客数自体が多いため、キーワードによっては月間検索数が数千〜数万以上のものもありますが、BtoBで同等の月間検索数があるキーワードは限られており、私の経験上、数十〜数百が最も多い印象です。

一般的に、月間検索数の多いキーワードほど、上位表示された際の集客数は大きくなりますが、その分競合性も高くなります。一方、BtoBでは月間検索数こそ多くないものの、競合性が低いキーワードを見つけやすい、とも言えます。

このように、BtoBとBtoCではSEOにおける前提やビジネス特性の違いによって、取り組み方が異なることを理解しましょう。BtoBのSEOにも関係する、BtoCとのビジネス特性の違いについては、下記の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

BtoB企業がSEOで成果をあげる4つのポイント

最後に、BtoB企業がSEOに取り組む際のポイントを4つ紹介いたします。SEOは細かいものを含めると膨大な施策量ではありますが、最低限必ず押さえておきたいポイントです。

自社サイト内でのコンテンツ発信

ここでいうコンテンツとは記事形式のコンテンツで、この手法は所謂「コンテンツSEO」と呼ばれています。SEOに取り組む多くの企業が実施しており、見込み顧客の役に立つ情報を記事化してサイト内のブログページで発信する手法です。

コンテンツSEOでは前提として、発信する情報の鮮度・専門性・独自性などのコンテンツ品質が重要で、インターネットで収集した情報を寄せ集めた記事では評価を得られないため、徹底的に品質を追求してください。そこに後述するキーワード選定を掛け合わせて、上位表示を狙っていきます。

記事コンテンツの制作方法は、内製と外部委託に分かれますが、BtoB商材に関する記事は専門的な内容になることが多いため、内製が理想ではあります。

しかし、実際の現場では次のような課題が浮き彫りになっていることも多いです。

  • 担当部署が他業務の合間に執筆しなければならないため、記事の公開が滞る
  • 執筆した原稿の編集工数が都度発生する
  • 能動的に取り組めるメンバーが限られている


仮に1ヶ月で2記事を制作するとしても、慣れていないメンバーからすればかなりの時間を要するため、完全内製はハードルが高いです。

これらの課題を解決するために、外部の編集会社へ依頼するか、フリーの編集者をチームへアサインする方法があります。例えば、記事の企画・執筆は自社が担当して、文章を整える編集は外部委託するなど、うまく外部リソースを活用すれば安定したコンテンツ発信が可能となります。

最初は記事数を増やすことで精一杯かもしれませんが、品質にこだわったコンテンツをコツコツと積み上げていくことで、少しずつ結果がついてきますので、根気よく取り組んでいただきたいです。

コンバージョンに近いキーワードを優先的に対策する

BtoBでコンバージョンが取れるキーワードは多くありません。コンバージョンが取れたトラフィックの大半が数個のキーワードで占めているケースは、BtoBでよくあることのため、まずはコンバージョンに近いキーワードを選定し、優先的に対策します。

キーワードの選定方法はいくつかありますが、下記のフローをおすすめします。

  1. 既存顧客へインタビューを実施して、サービス/製品を探した時の検索キーワードを聞く
  2. 競合サイトの流入キーワードを専用ツールで調べる(ahrefs、SimilarWeb、Dockpitなど)
  3. 1、2で抽出したキーワードで検索広告を出稿し、コンバージョンが取れるかを検証
  4. コンバージョンが取れたキーワードをページのタイトルやhタグ(見出し)に反映

競合サイトの調査方法については下記の記事で解説しておりますのであわせてご覧ください。


コンバージョンに近いキーワードは、見込み顧客がサービス/製品を探す時に検索する顕在的なキーワードで、「〇〇 比較」や「〇〇 料金」などが代表例です。これらのキーワードで上位表示できればコンバージョンを獲得できる可能性が高くなります。

しかし、前述のとおり、コンバージョンが取れるキーワードは多くないことに加え、競合もコストをかけて対策しているキーワードのため、上位表示の難易度は高めであることを念頭に置いてください。

また、コンバージョンに近いキーワードの対策が終わったら、サジェストキーワード(検索ユーザーや他ユーザーが過去に検索したキーワード)や情報収集フェーズの見込み顧客が検索する潜在キーワードに着手していきます。

これらのキーワードは、コンバージョンに近いキーワードと比較すると競合性が低いため、上位表示も狙いやすいです。少しずつ上位表示のキーワードを増やしていき、サイト全体の評価を高め、本当に狙いたいキーワードの検索順位を押し上げる、という戦い方も覚えておくと良いでしょう。

正しいコンバージョンポイントの設置

検索順位に影響するものではありませんが、ページに合ったコンバージョンポイントの設置はとても重要です。ページの内容に対してオファーのハードルが高すぎるサイトをよく目にしますが、全てのコンバージョンポイントが「問い合わせのみ」のサイトはユーザーからすれば、かなり敷居を高く感じてしまいます。

※コンバージョン:Webサイトで獲得できる成果(問い合わせ・資料請求・見積もり依頼など)


例えば、記事経由でサイトを訪問したユーザーは情報収集目的で検索しているため、そこでいきなり「問い合わせてみよう」とはなりづらいです。

ここではメルマガ登録やお役立ち資料ダウンロードなど、ハードルを下げて見込み顧客との接点を創出し、リード獲得後の電話やセミナー案内などを経て商談化を目指す方が現実的でしょう。ステップを踏むことで時間がかかるように感じるかもしれませんが、ハードルが高い「問い合わせ」に固執して獲得できるリード数を減らすことに比べれば、よっぽど効率的だと思います。

新規リードの獲得は、多くのBtoB企業がSEOに取り組む目的のため、ただ闇雲に検索順位が上がれば良いわけではありません。検索順位が上がり、ユーザーのサイト訪問数が増えたことを想定して、正しいコンバージョンポイントを各ページに設置しましょう。

固定ページのチューニングや記事のリライト

Googleアナリティクスなどのアクセス分析ツールで、コンバージョンが取れているページやアクセス数の多いページを確認し、定期的にチューニングすることも大切です。

サービスページや料金ページなどの固定ページは、コンバージョンに至るユーザーの多くが閲覧するページのため、CTAや導線の見直しを中心に実施します。

検索順位が上がりきれていない場合はタイトルタグの修正も有効ですが、あまり頻繁に行うのはおすすめしません。場合によっては検索順位が下がってしまう可能性もありますので、基本は検索順位が上がりきれていない場合のみ対応してください。

また、記事コンテンツのチューニング、所謂「リライト」は3〜4ヶ月に一回の頻度で実施した方が良いです。最初はコンバージョンが取れている記事だけでも良いので、定期的に記事を見直しましょう。

主に次のポイントを意識してリライトを進めていきます。

  • 競合サイトと比較して不足しているコンテンツがないか
  • 余計なコンテンツがあり、記事が読みづらくなっていないか
  • タイトルや見出しのキーワードが最適化されているか
  • 情報が古くなっていないか
  • リンク切れがないか
  • 記事の内容を要約した画像や図表が適宜挿入されているか
  • 自社独自の見解やデータが含まれているか


リライトはSEOにおいて重要度が高い施策の一つです。リライトを実施する際は上記のポイントとあわせて、検索順位・記事のクリック率を軸に進めていきます。

まずは検索順位についてですが、優先的に着手するのは検索順位が10位〜20位前後の記事です。10位〜20位前後を行ったり来たりしている記事は、リライトによって10位以内(検索結果の1ページ目)に上がる可能性が高いことから、狙い目とされています。

100位圏外の記事もリライトによって大きく順位を上げることができますが、まずは10位〜20位前後の記事をリライトして上位表示のページ数を増やし、その後に順位がついていない記事に着手する進め方が効率的です。

次に記事のクリック率について、主にタイトルやディスクリプション(検索結果に表示される説明文)の修正を実施します。検索順位が上位でもユーザーにクリックされなければページを見てもらえないため、検索順位同様に重要な指標です。

記事のクリック率は、サーチコンソールで確認できます。商材によっても大きく異なりますが、一般的にBtoBでは2〜3%が平均値のため、クリック率が2%を下回っている記事は、優先的にタイトルを修正してテコ入れした方が良いでしょう。

タイトルは検索順位にも影響するため、キーワードの最適化はもちろんですが、ユーザーの心理的欲求を満たすタイトルづけができているかがポイントになります。端的に言えば「ユーザーが読みたくなるタイトルか」を意識しなければなりません。

タイトルを見直す際のポイントは次のとおりです。

  • 検索結果で表示が途切れないように短くまとめる
  • 極力、対策キーワードを前半に持ってくる
  • 一言で記事の概要を説明できるタイトルにする
  • 想定読者(ターゲット)を明確にしたタイトルをつける
  • 適宜、数字を入れてユーザーの興味を惹く

さいごに

検索エンジンが世界的インフラになったことで、BtoBマーケティングの取り組み方は大きく変わりました。見込み顧客が課題解決のために、検索エンジンで情報収集することを考えると、改めてSEOの重要性を認識していただけるかと思います。

本記事ではBtoBビジネスにおけるSEOの重要性と、取り組む際のポイントを4点抜粋してお伝えしましたが、前述のとおり、SEOには数えきれないほどの施策が存在するため、内製でやり切るのは至難の業です。

必要に応じて、SEOの専門家やマーケティング支援会社への依頼も視野に入れて取り組むと良いでしょう。


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この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表。BtoBマーケティング・コンテンツマーケティングが得意領域。
プロジェクトでは主にマーケティング戦略立案やリサーチ業務に従事。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。