BtoB企業のためのコンテンツマーケティング施策一覧

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こんにちは、ルネイム代表の湯田(@yuta_lunaim)です。

「BtoB企業はコンテンツマーケティングと相性が良い」とされていますが、コンテンツマーケティングの定義は曖昧で、人によって示す内容が異なります。しかし、特定のコンテンツ及び発信手法のみを示すものではなく、自社で保有する若しくは新たに生み出したコンテンツを何らかの方法でお客様(顧客や潜在顧客など)へ届けるマーケティング活動全体を表した言葉であると、私は解釈しています。

デジタルマーケティング自体を積極的に展開する企業が増えたとはいえ、様々な意見や考えがインターネット上で乱立しており、何が正解かを見定めることは容易ではありません。そんな中、世界を襲ったコロナショックにより、オフライン施策中心が多かったBtoB企業では、半ば強制的に変革を迫られました。

マーケティング・セールスの大まかな流れ


分かりやすく表現するために細かいフローは省略していますが、上記はコロナショック以前・以降のマーケティング/セールス全体フローを大まかに表した図です。明確な違いを実際のビジネスシーンで目の当たりにされている方も多いと思います。

そこで本記事ではBtoB企業が行うべきコンテンツマーケティングの鉄板手法について網羅的に解説しています。「展示会で獲得していたリードをオンラインで補填したい」「インバウンド型のアプローチに切り替えたい」など、様々な目的でコンテンツマーケティングへの注力へ舵をきったBtoB企業のお役に立てれば幸いです。

なお、約14,000字と膨大ですので、関心があるものや適していそうなものを抜粋してご覧いただければと思います。

現在、以下のようなことでお悩みではありませんか?

  • コンテンツマーケティングを始めたいが具体的な方法が分からない
  • コンテンツマーケティングで計画通りの成果が出せていない
  • BtoBのコンテンツマーケティングに詳しい専門家を探している

弊社では、お客様の業界の市場動向や競合調査などを綿密にリサーチした上で最適なコンテンツマーケティング戦略を立案。戦略・企画・コンテンツ制作までを包括的にご支援しています。コンテンツマーケティングで大きな成果を出したいBtoB企業ご担当者様はお気軽にご相談ください。

目次

  • BtoB企業向けの主なコンテンツ

  • Webサイト

  • 記事コンテンツ

  • ホワイトペーパー

  • ウェビナー

  • コンテンツの届け方

  • SEO

  • ①Webサイト評価

  • ②外部評価

  • ③コンテンツ評価

  • 検索連動型広告

  • Facebook広告

  • SNS

  • メール

  • 送信元は個人名も入れる

  • 興味をひきやすい件名

  • 情報鮮度

  • メール開封後

  • プレスリリース

  • まとめ

  • BtoBのコンテンツマーケティングに強い私たちにご相談ください

BtoB企業向けの主なコンテンツ

まずは、BtoB企業が発信するコンテンに向いているものをご紹介します。ここでは、下記の4つについて詳細を解説しています。

  • Webサイト
  • 記事コンテンツ
  • ホワイトペーパー
  • ウェビナー

Webサイト

まずはオンライン上の自社拠点であり、BtoB企業にとってメインの集客チャネルであるWebサイトを機能させることが何よりも先決です。流入後の受け皿である自社サイトの作り込みは最初に行い、それを軸に様々な施策を展開していくべきです。

フルリニューアルの必要はありません。下記項目を運営しているWebサイトと照らし合わせて、今一度チェックしてみてください。

  • 問い合わせや資料請求をスムーズに行える設計になっているか
  • 見込み顧客が知りたい情報を掲載しているか
  • 過度なアニメーションを用いて視認性を阻害していないか
  • 著しく表示速度が遅くないか
  • ユーザーが閲覧しやすい合理的デザインを採用しているか…など


そして、数値上で最も意識すべき指標はCVR(コンバージョンレート=問い合わせ・資料請求などの確率)です。コンバージョンの内容や業界によってバラつきはありますが、一般的に平均CVRは1〜2%と言われています。つまり、100名がサイトを訪問して1人以上がコンバージョンへ繋がっているのであれば平均値内ということです。

CVRは、Googleアナリティクスで事前に目標アクションを問い合わせに設定することで容易に計測できます。GoogleアナリティクスでのCVR計測方法について、株式会社WACULさんが運営するAIアナリストブログで詳しく解説されていますので、下記からご覧ください。

参考記事:GoogleアナリティクスでCVRを計測! 設定方法・画面の見方を解説

なお、BtoB企業の主なコンバージョンは以下の内容が定番です。

  • 問い合わせ
  • サービス/製品(商品)カタログ請求orダウンロード
  • サンプル送付依頼
  • お役立ち資料ダウンロード
  • 価格表ダウンロード
  • 導入事例ダウンロード
  • 無料トライアル…など


後に解説するCTAとして設置するコンバージョン内容は「問い合わせ」「サービス/製品(商品)カタログ請求orダウンロード」が一般的ですが、事業特性・コンバージョン内容のハードル・自社の組織体制によって何をCTAに採用するかを考慮してください。

ここで話を戻しますが、CVRが1%未満のままSEOやデジタル広告などの施策を用いても、流入ユーザーが離脱しやすい状態ですので、広告費などの施策費用が無駄になってしまいます。まずはWebサイトのCVRを平均値内まで上げて足場を固めてください。CVR改善アクションは、下記を参考にしていただければと思います。

  1. CTA(コール・トゥ・アクション=ユーザーに行動を促すボタン・バナー等のセクション)
  2. ファーストビュー(Webサイトトップページの最上部)
  3. フォーム(問い合わせ・資料請求等の個人情報入力セクション)
  4. 表示速度(Webサイト全体の表示速度)
CVR改善アクションリスト

記事コンテンツ

記事コンテンツは、思い立ったその日からでも自社サイト(コーポレートサイト ・サービスサイト・オウンドメディアなど)で発信出来るコンテンツです。BtoBで発信する記事コンテンツの内容は主に以下のものが考えられます。

  • 自社のサービス、製品(商品)に関連する情報
  • 自社の業界に関連する情報
  • 専門領域のノウハウ
  • 顧客インタビュー
  • 導入事例…など


上記を記事化して、SEOやSNSと絡めながら潜在顧客のリード化を図るのが、記事コンテンツを活用したBtoBコンテンツマーケティングの定石とされていますが、自由にテーマを決めて随時発信出来る記事コンテンツの特性を活かすことで、認知獲得〜商談後の意思決定段階や失注案件の再商談化を図る際においても有効です。

BtoBは検討期間が長い傾向があり、顧客側は問い合わせや資料請求のアクションを起こしても発注自体を決めたわけではありません。あくまでも情報収集段階ですので、この段階ではインサイドセールスによる電話・メールでお役立ち情報を提供してホットリード化を図る、所謂リードナーチャリングと呼ばれる取り組みを行います。

クローズド型のウェビナー案内やホワイトペーパーなどを見込み顧客へ届け、タイミングを見て商談への引き上げを図りますが、顧客側でも「もっとこの会社を知りたい」という思いから、Webサイトへ訪問して一度読んだ記事や他ページ(記事)も閲覧することが考えられます。

商談引き上げ後、つまりフィールドセールスによるクロージングを経ての最終意思決定段階でも「本当にこの会社へ発注して大丈夫だろうか?」と、顧客はWebサイトへ訪問してサイト内のコンテンツを一通り確認するかもしれません。

これらを鑑みると、顧客がいつでもコンテンツに触れられる環境を構築しておくことで、各フェーズでプッシュ要因の一つとなり得ることも十分に考えられます。

しかし、全てはコンテンツの質次第で吉にも凶にもなる可能性があることを理解しておかなければなりません。折角問い合わせをした見込み顧客が、Webサイトへの再訪時に閲覧した記事やメルマガで送付された記事内の情報に対して、比較検討している競合他社の方が有益だと感じてしまえば、その後の商談に影響を与える可能性も否めません。

一方、競合他社よりも情報の量・質ともに優っている記事であれば、「こんなにも良い情報を発信している会社だから大丈夫だろう」と、提案に対してのエビデンスや信頼を獲得し、その後の商談や最終意思決定段階で大きなプッシュ要因となります。

ここまでは認知獲得から最終意思決定までの、記事コンテンツの持つ可能性についてお伝えしましたが、あくまでも一例であり全てのケースに該当するわけではありません。しかし、オンライン上で常に情報を提供出来る記事コンテンツを介して、見込み顧客とのコミュニケーションを図れることは大きなメリットではないでしょうか。

「どんなテーマで記事を書けばよいか分からない」という方は、下記のコンテンツマーケティングに関する質問と回答をまとめた記事の中で、コンテンツテーマの考案方法についても解説しているので参考にしていただければと思います。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、自社のサービス/製品に関するお役立ち情報をまとめた資料のことです。ホワイトペーパーはBtoBでよく用いられるリード獲得手法で、自社のサービス/製品に対して興味関心がまだ湧いていない潜在層向けのデジタルコンテンツとして活用されています。

通常、オンラインで新規リードを獲得するためには、自社サイトでの「問い合わせフォーム」か「資料請求フォーム」を介してユーザーにアクションを起こしてもらわなければなりません。しかし、これらの対象となるのは比較的、検討意欲の高いユーザーに絞られます。検討意欲が低いユーザーからすれば、問い合わせや資料請求は少々ハードルを高く感じてしまいます。

そこで、問い合わせや資料請求に対してハードルを高く感じているユーザー向けに、抱えていると思われる課題をテーマとしたホワイトペーパーを作成してダウンロードを促します。ダウンロードによって獲得した新規リードをメルマガや架電・クローズド型のセミナー/ウェビナーなどでコミュニケーションを創出して商談へ引き上げる、所謂リードナーチャリングに取り組むことはBtoBでは鉄板のフローです。ホワイトペーパーのダウンロードを促す導線は、以下が考えられます。

①自社サイト(記事内含む)
自社サイトのトップページや記事コンテンツ内にバナーを設置して、ダウンロードフォームへ誘導。記事コンテンツから誘導する際は、記事コンテンツとホワイトペーパーの内容が整合しているかがポイントです。

②SNS
主にFacebook・Twitter・Linkedinで、現時点では特にTwitterが有効です。

③広告(Facebook広告)
ホワイトペーパーを活用した新規リード獲得を図る際に広告を用いるのであれば、特にFacebook広告が有効です。ターゲティング精度が高い上にBtoB商材とも相性が良く、潜在顧客のリード化に向いている広告プラットフォームです。

④メルマガ
既に獲得しているリスト内の見込み顧客へメルマガを活用して告知します。見込み顧客のセグメント別に、適している内容のコンテンツを選択することがポイントです。

また、ホワイトペーパーはリード獲得時だけではなくてナーチャリングの一環としても活用することが出来ます。検討意欲が薄い人で単純にリード化を目的とするのであれば調査レポートやガイドブック形式などの気軽にダウンロードしやすいものを、ナーチャリングを経て検討意欲が高まった人にはサービス案内・製品案内・事例紹介などの商談へ持ち上げやすい内容にするなど、以下のように見込み顧客のフェーズによって使い分けると良いでしょう。

フェーズごとの最適コンテンツ


しかし、ホワイトペーパーは一歩間違えば、逆効果になる可能性も秘めています。例えば、たまたまホワイトペーパーを知り個人情報入力後、ダウンロードしたユーザーがいたとします。まだ検討意欲が湧いていない中で、「気になるテーマだったからとりあえず」の感覚でダウンロードしたにもかかわらず、ダウンロード後に電話やメールでのアポイント案内をすぐさま打診された場合、かえってその企業に対してマイナスイメージを持つ可能性があることも否定出来ません。

より多くのリードを獲得して、商談数を増やしたいと考えること自体は間違っていませんが、検討期間が長期化しやすいBtoBの特性上、浅いリードに対しての性急なアプローチは、些か早計であるように思います。

これらを考慮すると、前述の課題形成前フェーズのリードに関しては、ダウンロード後の性急なアプローチは避けて関係構築に徹することや、そもそも個人情報入力不要でダウンロード可能として、コンテンツの質で勝負して、見込み顧客からの歩み寄りを待つ方が良いのでは、と私は考えています。

上記はあくまでも私の考えですが、ホワイトペーパーによるリード獲得手法が定番化した今、獲得したリードが、より検討意欲を高めるための行動を追求することが出来れば、結果的に商談化率の向上へと繋がるでしょう。ダウンロード後の行動についても社内で明確な方針を定めた上で取り組んでみてください。

ウェビナー

リアルでのセミナー開催が難しくなった今、オンライン型セミナー「ウェビナー」へ積極的に取り組む企業が増えています。リード獲得を目的とするならばオープン型、ナーチャリングを目的とするならばクローズド型と、目的別でコンテンツを使い分けてウェビナーの方向性を定めると良いでしょう。

海外では、数年前からウェビナーでのリードジェネレーション/ナーチャリングが盛んに行われていましたが、日本ではコロナショック以降から本格的に取り組む企業が増えました。今後のイベント型マーケティングは、ほぼ間違いなくオンライン開催でしょう。その理由として、ウェビナーは圧倒的なメリットが多くあるためです。

まず、マーケティング視点でのメリットに、データを溜めやすいという点が挙げられます。デジタルマーケティングでは、一定数溜まったデータを基に各施策を実行するのが定石であり、獲得したデータは企業が有する資産となります。リアルでのセミナーでも、申込数・参加率・商談化率は測定出来ましたが、ウェビナーはそれら以外の測定も容易に行えます。測定可能な指標を以下にまとめました。

  • 申込数
  • 参加率
  • 商談化率
  • 時間毎の視聴者数
  • 参加者の継続視聴率
  • チャットやQ&Aに参加しているか
  • 参加後にホワイトペーパーやレポートをダウンロードしているか…など


上記のように、開催したウェビナーが売上へどのように反映されているのかを様々な視点で確認することが出来ます。商談化に貢献したウェビナーとそうでないウェビナーが数字として明確になるので、結果が出たウェビナーは継続することが出来ますし、結果が出なかったウェビナーであればコンテンツ自体の改善なども容易に可能です。

また、物理的なメリットとしては下記が挙げられます。

  • 会場の手配が要らない
  • 参加人数が柔軟に変更出来る
  • 自宅や会社から参加が可能(開催側/参加者共に)
  • 思い立ったら直ぐに開催出来る
  • ウェビナー中のアンケート
  • 参加者が匿名かつ好きなタイミングで質問出来る
  • 録画可能
  • アーカイブ動画の後日送付…など


オンラインの特性を活かしたウェビナーは、開催側/参加者共にメリットが多く、コロナショック以降は従来のセミナーに代わってイベント型マーケティングのメイン手法となりました。

しかし、今後、ウェビナー開催企業が増えるということは、競合他社と差別化出来るだけの魅力的なコンテンツが必要となります。取り扱うテーマは勿論、登壇者のウェビナースキルも求められるでしょう。

リアルでのセミナーであれば、その場の空気や会場での一体感を感じやすく、参加者は全員登壇者の話に耳を傾けやすいでしょう。一方、ウェビナーは参加者の顔が見えない中でスライドを画面共有して進めていかなければなりません。中には仕事中にラジオ感覚で聞いているだけの参加者もいます。その状況下で参加者の心を掴めるだけのウェビナー術も、ロープレなどで磨き上げる必要があるでしょう。

これらの状況を想定した上でコンテンツを組み立てて、テーマ・コンテンツの質・登壇者のウェビナースキルと掛け合わせて、独自のイベント型コンテンツを展開すれば、競合他社と大きく差別化を図ることが出来ます。

ウェビナーの告知方法は、セミナー集客でも相性の良かったFacebook広告が効果的です。

また、SNS(特にTwitter)での告知も効果的です。ただし、SNSでの集客は、フォロワー数が多いことに加えてエンゲージメント率が高い、強いアカウントを持っていることが前提となりますので、日頃からアカウントを育てる必要があります。

コンテンツの届け方

次にユーザーへコンテンツを届けるための施策をご紹介します。本セクションでは下記の施策について詳細を解説しています。

  • SEO
  • 検索連動型広告
  • Facebook広告
  • SNS
  • メール
  • プレスリリース

SEO

BtoBでは、指名検索(会社名やサービス名・製品名での検索)でのユーザー流入も多いので、これまでSEOに注力してこなかった企業も少なくありませんが、指名検索一本狙いだと既に自社や事業について知っているユーザーのみに絞られるため、より多くのリードを獲得したいのであれば一般キーワードでの潜在層流入を図る必要があります。

見込み顧客が自社の事業に関連するキーワードで検索した際に、自社のページが検索結果の上位に表示されていれば、コンテンツを見込み顧客へ届けやすくなります。検索概念が根付いた現代で、SEOは見込み顧客とのタッチポイントを創出できる重要な施策の一つと言えるでしょう。

検索エンジン上での優位性を実現することができれば、広告に頼ることなく、効率的な集客が可能となりますが、成果を実感出来るまでに一定の期間を要するのもSEOの特徴の一つです。

また、検索エンジンのアルゴリズムが変わると順位も変動する傾向があるので、私はよくSEOのことを「ゴールのないマラソン」と呼んでおり、検索結果で上位表示を実現するためには一朝一夕では不可能です。

SEOで最初に取り組むのはキーワード選定になります。選定したキーワードを基に記事コンテンツやページ制作へ取り組みますが、どのようなキーワードで見込み顧客が検索するのかをキーワード選定ツールなどで深掘りしなければなりません。

重要なのは、「ユーザーがどのような意思で検索するのか」「どのようなキーワードを用いればコンテンツを届けることが出来るのか」など、一連のユーザー行動をイメージして選定することです。

単純想起出来るキーワードであれば専用ツールを使用する必要もなく社内で取り組めると思いますが、ユーザーの潜在ニーズを反映させたキーワードを選定する際は、SEOコンサルティング会社やコンテンツマーケティング支援会社などの専門家の力を借りた方が効率よく取り組めるでしょう。

また、検索順位を定める指標は200以上あると言われており、その中でも下記の3つが特に重要視されている評価指標です。順番に解説いたします。

SEOの3つの評価指標

①Webサイト評価

Webサイト評価を定める項目は主に下記の通りです。

  • クローラビリティ
  • インデックスステータス
  • ユーザーが閲覧しやすいレイアウト
  • モバイル(スマホ)フレンドリー
  • セキュリティ対策
  • 表示速度…など


上記を含めたいくつもの項目を指しており、テクニカルSEOと呼ばれています。弊社はSEO専門の会社ではありませんが、多くのプロジェクトがWebサイトの改善から着手することが多く、その中でテクニカルSEOも実行タスクに含まれています。

テクニカルSEOチェックリスト


全82項目に分けた独自のワークフローに沿って取り組んでいますが、これからSEOに注力する企業が自分たちだけでこれらを実行するのは難しいでしょう。

テクニカルSEOへ取り組むためには専門技術を要するので、SEOに詳しいWeb制作会社・SEOコンサルティング会社などの外部パートナーに依頼することが現実的です。

②外部評価

評価の高いWebサイトから被リンクを集められているかを見られています。一昔前に横行した自作自演リンクなどのブラックハット施策がペナルティーの対象であることは説明不要かと思いますが、ここで重要なのは「評価の高いWebサイト」という点です。

業界の有名メディアや評判の良い企業のWebサイトからの被リンクは、検索エンジンからの評価を上げる大きな要素です。しかし、自社でコントロール出来る領域ではないため、優良被リンクを獲得するためには外部評価を得られるように、この後ご紹介する質の高いコンテンツ発信に注力する他はありません。

③コンテンツ評価

Webサイト内のコンテンツがユーザーニーズを満たせるコンテンツであるか、という観点で評価されます。よく「良いコンテンツ」と表現されていますが、情報の網羅性や専門性などを含めた質が求められます。

しかし、良いコンテンツを制作することは、口で言うほど簡単なことではなく、私自身もその難しさを身を以て感じています。テクニカルSEOのように技術要件であれば明確な達成指標がありますが、コンテンツの質は定量測定出来るものではありません。

ユーザーの検索行動に意味を持たせられるかはコンテンツ次第です。意味のある検索行動がユーザーにとって実りある検索体験で、実りある検索体験を与えられるコンテンツが良いコンテンツではないでしょうか。

成果よりもユーザーへの奉仕を第一に考えてコンテンツ制作を継続すれば、ユーザー・検索エンジン双方からの評価を得ることが出来ます。今後のSEOについて以下の記事でも詳しく解説していますので併せてご覧ください。

検索連動型広告

「広告もコンテンツマーケティングに含まれるのか?」と質問をいただくことも多いのですが、冒頭でもお伝えした通り「自社で保有する若しくは新たに生み出したコンテンツを何らかの方法でお客様(顧客や潜在顧客など)へ届けるマーケティング活動全体を表した言葉」と定義すると、広告によるコンテンツ提供も含まれます。

検索連動型広告とは、検索キーワードと連動して配信されるデジタル広告メニューの一つで、普段から検索エンジンを利用している方であればよく見かけるかと思います。検索連動型広告で届けるコンテンツはLP(ランディングページ)です。LP内のコンテンツでユーザーへ訴求してコンバージョン後にセールスへ繋げるフローとなります。

検索連動型広告は、ユーザーが能動的に検索した際に配信される特性上、顕在層向けの広告です。設定した入札単価や品質スコアと呼ばれる出稿する広告品質を数値化したものを掛け合わせた「広告ランク」によって掲載順位が決まります。当然、広告ランクが良い方が掲載順位が上がるのですが、業界によっては入札単価が高騰して掲載順位が上がりにくくなっている事象が起こっています。

参考:Google広告ヘルプ:広告ランク

ただし、BtoBの場合は専門的でニッチな商材を扱っている企業も多いので広告上の競合が少ない場合も多く、戦略を立てて運用すれば十分に勝算はあります。今まで広告運用をしたことがない方であれば難しく感じるかもしれませんが、デジタル広告の大きなメリットとして少額から始めることが出来るので最初はあまりコストをかけずに始めて、自社のコンバージョンキーワードが確立したり広告の運用に慣れてきた段階で広告費を増額すれば良いのではないでしょうか。

出稿キーワードを設定する際は、Googleが提供しているキーワードプランナーというツールで指定したキーワードの月間検索ボリュームやクリック単価について調べることが出来ますので活用してください。Googleアカウントがあれば誰でも利用出来ます。

参考:キーワードプランナー

本格的にデジタル広告を活用していきたい場合は、専門知識を持つ広告代理店やデジタルマーケティング支援会社などへ運用を依頼することも一つの手です。デジタル広告は運用型広告とも呼ばれており、日々効果測定しながら運用最適化を図ることが出来ます。

外部の専門会社は、広告戦略の策定から運用改善までを全て代行してくれることに加え、最新の情報を常にキャッチアップしているので、ノウハウと併せて活用することが可能です。広告運用の外注に関して、下記の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

Facebook広告

Facebook広告は、SNS広告の中で最もBtoB企業が活用している広告プラットフォームです。Facebook広告の特徴は、実名制の正確なデータベースを活用した高精度のターゲティング機能で、年齢や性別・興味関心など細かく指定して広告を配信することが出来ます。

特にターゲティング機能は、上記以外でもFacebookで繋がっているユーザー・自社サイトに訪問歴のあるユーザー・オフラインで獲得した顧客情報・ターゲティングしたユーザー層と共通点のあるユーザーへも広告を配信することが出来る優れた広告プラットフォームです。Facebook広告のターゲティング機能については下記の記事で詳しく解説しています。

Facebookでは情報収集を行なっているユーザーが多いことに加え、SNSの特性上、仕事の休憩時間・テレビを観ている時などのスキマ時間に利用するユーザーも多いでしょう。

これらのことから、届けるコンテンツはホワイトペーパーやウェビナーなどの比較的ハードルが低いコンバージョンポイントを設けて、多くのリード獲得を図ることはBtoBの鉄板施策です。

Facebook広告は、画像や動画バナーを使用するのでテキストのみの検索連動型広告と異なり、視覚的にもユーザーへ訴求することが可能です。同時に、画像や動画バナーのクオリティーが低いと思うような成果を出せない可能性がありますので、チェックすべきポイントは増えます。

SNS

SNSを活用したマーケティングの重要性は年々高まっており「SNSはBtoBには合わない」とされてきた定説が覆されたように感じています。SNS運用=企業アカウントと思う方も多いですが、BtoBマーケティングにおいては個人アカウントです。

元来、BtoBは顧客とのタッチポイントが少なく、企業間取引が故の閉鎖的なセールス文化です。特定のターゲット企業へアプローチをして関係値を高めて受注まで持っていく中で、営業マンと担当者以外のコミュニケーションは起こりづらいものでもあります。

このようなBtoB特有のタッチポイント不足を補ってくれるのがSNSです。SNSの中でもTwitterやFacebookがBtoBには適していますが、最近はLinkedinが日本でも徐々にユーザー数を増やしており、ビジネスSNSとしてさらに認知されるのではないでしょうか。

しかし、SNSで自社のコンテンツを届けることが出来るのは、あくまでも副次的効果であり、メインは「人ブランド」の醸成であると考えています。

例えば、Twitterでは多くのBtoB企業の社長や社員が情報発信を積極的に行っており、有益なツイートが多いユーザーには多くのフォロワーが付きます。その結果、Twitter経由でのWebサイトへの訪問者やウェビナーの参加者が増えるなど、コンテンツに触れる機会を増やしている企業が実際に存在します。

Twitter活用例


これらの効果は「あの社長だから」「あの人が在籍している会社だから」など、企業ではなく「人」が起点であり、SNS上でしか知らない人でも一種の信頼感を得ることが可能であると考えられます。ツイート・投稿内容もコンテンツであり、届けたいコンテンツも含めて結局は「質が高いコンテンツを生成する」ことにこだわった情報発信を継続することで得られる効果です。

ここまでSNSの重要性についてお伝えしましたが、同じBtoB企業でもSNSに向いている企業もあれば向いていない企業も同様にあると思っています。しかし、SNSを通して「人ブランド」を醸成すること自体がマイナスにはならないはずです。仮にマーケティング上の成果が見えなかったとしても、社外の繋がりが増えて思わぬ形で引き合いをいただく可能性も十分に考えられるのではないでしょうか。

また、SNSではUGC(User Generated Content=ユーザー間のクチコミ)が重要で、企業からの一方的なメッセージではなく、ユーザーによる評価が信頼性を増し、UGCが発生することで指名検索(社名やサービス・製品名での検索)数が増えるとされています。SNSマーケティング支援で有名なホットリンクさんが下記の記事で詳しく解説していますので、是非参考にしてください。

参考記事:【徹底解説】UGCとは何か、なぜマーケティングで重要になってきたのか
参考記事:ULSSAS(ウルサス)とは

メール

メールマーケティングは、配信先リストの作成や、文章・画像・動画などのコンテンツ、WebサイトやSNSとの連携、メール配信後の開封・クリックの分析、メール経由のコンバージョン計測など、デジタルマーケティングの中でも複合的な要素を持つマーケティング手法です。

SEOやデジタル広告などのユーザーをWebサイトに引き込む「プル型」の施策が多いデジタルマーケティングの中でも、ユーザーのメールアドレスに直接コンテンツを届けることが出来る「プッシュ型」施策であることもメールマーケティングの大きな特徴で、メールマーケティングツールやMA・CRM・SFAツールを活用するのが一般的です。

前述のように、メールはあらゆるコンテンツを届けることが出来る強みがありますが、事前に設定した配信リスト層に適したコンテンツを選択しなければ効果は半減します。

配信リストの獲得方法は、オフラインでの名刺交換や過去にお問い合わせがあったお客様・自社サイト上でメルマガ登録を促すコンテンツの設置などがあり、獲得した配信リストをホットリスト(商談化しやすいリスト)とコールドリスト(興味関心がまだ湧いていないリスト)に分けます。各リスト内でも業種や検討状況に応じて細分化することをおすすめします。

そして、ホットリストへ送信する場合は自社事例・サービス/製品(商品)情報などの商談引き上げ向けのコンテンツ、コールドリストへ送信する場合は記事コンテンツ・ホワイトペーパー・ウェビナー告知などのリードナーチャリング向けのコンテンツにして、配信リスト内の企業の温度感に合わせた施策を行なって下さい。

前提として、受け取り側は毎日多くのメールを受信しており、内容を熟読するという行動は起きにくく、大半がサラッと目を通してそのままか、読む前に削除するかのどちらかであるケースが多いです。つまり、メールによるコンテンツ提供を図る際は「開封してもらうこと」が最重要で、ユーザーに開封してもらって初めてコンテンツを届けることが出来たと言えるでしょう。

開封率を上げるための以下の3つ及び開封後のクリック率を高める取り組みについてご紹介します。

送信元は個人名も入れる

BtoBでは送信元に会社名だけでなく、部署名や個人名も入れてメールを送信した方が効果的とされています。株式会社〇〇カスタマー担当などではなく、例えば「株式会社〇〇 山田 太郎」のように、どこの誰が送信したメールであるのかをユーザーが瞬時に把握できるように設定してください

興味をひきやすい件名

提供するコンテンツの内容や、ユーザーがメールを読むことのメリットを示した件名を設定します。特別感のある件名(〇〇限定/〇〇%改善事例/無料DLなど)は開封率が高い傾向にあります。

件名の文字数は、PCの場合、多くのメールソフトで30文字以上でも表示自体は可能ですが、件名が長くなってしまうとその分プレビューの文字数が減ってしまったり、直感的に理解がしずらくなってしまいます。

また、スマホでメールを確認するユーザーも想定した際に、スマホでは20文字程度の表示が多いので、最初の20文字は特に重要なキーワードを設置し、長くても30文字程度で完結にまとめるのが良いと考えられます。

情報鮮度

メールに限ったことではありませんが、時流に合った内容や話題のジャンルに関するテーマだと、メールを受け取ったユーザーが興味を持ちやすくなるので、開封率にも影響します。

メール開封後

メールの開封後は、目的のコンテンツを届けるために、メール内のCTAやURLをクリックしてもらう必要があります。ポイントは①ファーストビューで送信したメールの内容が一眼で分かるように構成②1通のメールに情報を詰め込まない、です。

開封率の解説でもお伝えしたように、基本は「ユーザーが直感的にどんなメールか把握できること」を意識してください。1通のメールで伝えるメッセージは1つ、クリックしやすいCTAをファーストビューに設置する、は徹底してください。

ここまではメールマーケティングの基礎的な内容をお伝えしましたが、株式会社ラクスさんが提供しているメールマーケティングツール「配配メール」のサービスサイトでメールマーケティングに関するお役立ち情報を発信していますので、併せてご覧ください。

参考:配配メール/メルマガ・メール配信に関するお役立ちコラム

プレスリリース

広報媒体としての認識が強いプレスリリースですが、コンテンツを届ける手段としても活用出来ます。サービス・製品(商品)に関することや自社の取り組みなどを速やかに届けたい場合に有効です。

プレスリリース配信会社が提携するメディアへ自社の情報を伝え、自社のことを知らない層に対して幅広く告知することが出来ます。プレスリリースを配信するタイミングとしては、主に下記の通りです。

  • 新サービス/新製品の発表
  • 新店舗/新サイトの発表
  • 調査レポートリリース
  • イベント告知…など


プレスリリース会社は様々ありますが、PR TIMES・@PRESSなどが知名度や提携メディア数が多く有名です。費用は月額制だけでなく単発で数万円〜とミニマムスタートも可能ですので、予算に応じて取り組むことが出来ます。

プレスリリース戦略が功を奏した場合はメディアに取り上げられることだけでなく、SNSでの拡散や自社サイトへの流入数増加などの効果も得ることが出来ます。プレスリリースの基本についてはPR TIMES社が運営しているTayoriというサイト内で以下の記事にて詳しく解説しています。

参考記事:スタートアップ必見!伝わるプレスリリースのつくりかた、PR TIMESが教えます

まとめ

コロナショックにより、マーケティング活動・営業活動を行うにあたって、オンライン施策の重要性が浮き彫りになりました。仮にコロナが収束したとしても、コロナ前と同じ状態に戻ることはないでしょう。

コンテンツマーケティングは決して即効性のある施策ではありませんが、自社で生み出して発信したコンテンツは会社の資産として残り、根気よくコツコツ続けていくことで成果が見えてきます。

テレワーク化が進んだ今、移動時間の削減や今までのコアタイムの使い方を見つめ直した方も多く、そんな今だからこそ、コンテンツ作りや情報発信など、今まで中々取り組めなかったことも始めることが出来るのではないでしょうか。

このような状況下で、BtoBにおけるコンテンツマーケティングの有用性に気付き、多くのBtoB企業がコンテンツ発信の注力へ舵取りを行っています。しかし、それまでに全く取り組んでこなかった企業であれば様々な課題に直面することが予想されます。

そんな時に本記事を読み返していただき、コンテンツマーケティングでビジネスを活性化させたいと考えているBtoB企業の一助になれば幸いです。

BtoBのコンテンツマーケティングに強い私たちにご相談ください

本記事でお伝えさせていただいた内容について更に深く知りたいBtoB企業様はルネイムへお気軽にご相談下さい。コンテンツマーケティングに関する豊富な知見を活かし、お客様が抱える事業課題を根本的に解決するコンテンツマーケティング戦略を説明・ご提案させていただきます。

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この記事を書いた人

株式会社ルネイム 代表取締役

湯田 正和

株式会社ルネイムの代表。BtoBマーケティング・コンテンツマーケティングが得意領域。
プロジェクトでは主にマーケティング戦略立案やリサーチ業務に従事。
R&B・Hip Hop好きでゴルフと福岡ソフトバンクホークスが生き甲斐。